コール

イン・ザ・マネーとは?コールでの意味とバイナリーでの違い

イン・ザ・マネーは、権利行使を行った場合の損益がプラスの状態を指す呼び名です。コールでの位置、バイナリーでは深さが受取額に関係しないこと、判定時刻の一点だけで権利行使か権利消滅が決まることを、国内6社の公表表記で確かめます。

「イン・ザ・マネー」は、GMOクリック証券が外為オプションの予備知識で「権利行使を行った場合の損益がプラスの状態」と定義している言葉です(2026年11月2日確認)。コールで言えば、原資産価格が権利行使価格より上にある状態を指します。反対に下にある状態が「アウト・オブ・ザ・マネー」、ちょうど同じ水準が「アット・ザ・マネー」です。

ただし、この3つの呼び名をバイナリーオプションへそのまま持ち込むと読み違えます。同社は同じページに「GMOクリック証券の外為オプションは、バイナリーオプションなので、この表とは多少異なるので注意!」という注記を置いています。バイナリーのコールは、どれだけ深くイン・ザ・マネーでも受け取るのは1枚1,000円で、しかも判定するのは判定時刻の一点だけです。

この記事では、3つの状態の定義、バイナリーで意味が変わるところ、どの会社の文書にこの言葉が出てくるか、そして「今はイン・ザ・マネーだから当たる」という読み替えが成り立たない理由を順に見ます。コールという用語そのものはコールとは、購入価格が動く理由は購入価格はなぜ変わるのかで扱っているので、ここでは状態の呼び名に絞ります。

3つの状態は、権利行使価格を境に入れ替わる

GMOクリック証券は、オプションの価値であるプレミアムが「本質的価値」と「時間的価値」の2つから構成されると説明し、本質的価値を「オプションの権利行使を行ったときに得られる価値」としています。その本質的価値を損益の観点から3つに分けた呼び名が、イン・ザ・マネー、アット・ザ・マネー、アウト・オブ・ザ・マネーです。

呼び名GMOクリック証券の定義コールのときプットのとき
イン・ザ・マネー権利行使を行った場合の損益がプラスの状態原資産価格が権利行使価格より上原資産価格が権利行使価格より下
アット・ザ・マネー権利行使を行った場合の損益がゼロの状態原資産価格が権利行使価格と同じ水準原資産価格が権利行使価格と同じ水準
アウト・オブ・ザ・マネー権利行使を行った場合の損益がマイナスの状態原資産価格が権利行使価格より下原資産価格が権利行使価格より上
表1:定義は1つでも、コールとプットで位置が逆になります定義の列はGMOクリック証券「プレミアムとは(外為オプション 予備知識)」の表の表記です(2026年11月2日確認)。右の2列は、その定義をコールとプットに当てはめて当サイトが整理したものです

注意したいのは、同じ原資産価格でもコールとプットで呼び名が逆になることです。権利行使価格より上にあるとき、コールはイン・ザ・マネーですが、同じ回号の同じ権利行使価格のプットはアウト・オブ・ザ・マネーです。「イン・ザ・マネーの銘柄」という言い方だけでは、どちら側の話なのか決まりません。プットの側の条件はプットとはで扱っています。

イン・ザ・マネー、アット・ザ・マネー、アウト・オブ・ザ・マネーの3つの状態が、権利行使価格を境にコールとプットで入れ替わることを示した位置図。左のコールは、原資産価格が権利行使価格より上がイン・ザ・マネー(権利行使を行った場合の損益がプラスの状態)、同じ水準がアット・ザ・マネー(損益がゼロの状態)、下がアウト・オブ・ザ・マネー(損益がマイナスの状態)。右のプットは上下が入れ替わり、上がアウト・オブ・ザ・マネー、下がイン・ザ・マネーになる。下の注記は、バイナリーオプションでは判定価格と権利行使価格が同じ値のときコール側が条件を満たし、国内6社がコールの条件を以上または記号で、プットの条件を未満または記号で記載していること
図1:呼び名は原資産価格と権利行使価格の位置関係だけで決まります定義はGMOクリック証券「プレミアムとは」、コールとプットの条件は国内6社の取引ルール・サービス概要・取引概要の表記(いずれも2026年11月2日確認)。縦方向の幅は価格の距離を表すものではありません

もう1つは、この呼び名が権利行使価格との位置関係しか表していないことです。権利行使価格は各社が回号ごとに設定します。GMOクリック証券・楽天証券・GMO外貨・外為どっとコムは、いずれも取引の開始1分前の原資産価格を基準にすると公表しています(GMOクリック証券と外為どっとコムは上下対称、楽天証券は上下均等に7本、GMO外貨は各権利行使価格が均一の幅という表記です)。つまり回号が始まった時点で、現在値より上に並ぶコールはアウト・オブ・ザ・マネー、下に並ぶコールはイン・ザ・マネーから始まります。設定の仕組みは権利行使価格とはにまとめました。

バイナリーでは「深さ」が受け取る金額に関係しない

通常のオプションでは、イン・ザ・マネーの深さがそのまま損益の大きさになります。GMOクリック証券のパラメータ表も、コールのプレミアムは原資産価格が上昇すると上がり、権利行使価格が高いと下がる、という関係で整理されています。深く入っているほど価値が大きい、という考え方です。

バイナリーオプションはここが違います。国内6社はいずれも、条件を満たしたときに受け取る金額を固定で公表しています。GMOクリック証券と楽天証券は1枚につき1,000円(固定)、みんなのオプションは1Lotあたり一律1,000円、GMO外貨は1口あたり1,000円、外為どっとコムは1Lotにつき1,000円(固定)です。IG証券は取引価格100ポイントでの清算で、損益通貨が日本円の銘柄では0.1ロット取引時のペイアウト額が10,000円です。1銭上回っても、大きく上回っても、受け取る額は変わりません。

変わるのは、買うときに払う金額です。みんなのオプションはチケット価格について「目標レートに達する可能性が高い場合はチケット価格は高くなり、可能性が低くなればチケット価格も安くなります」と書き、判定時間までの残り時間なども価格に影響すると説明しています。公表されている1枚(1Lot・1口)あたりの範囲は、GMOクリック証券が約50円〜999円、みんなのオプションが50円〜990円、GMO外貨が40円〜990円、外為どっとコムが約40円〜1,000円です。楽天証券は取引ルールの表に範囲を示していませんが、同じページのリスクと費用の記載で、1枚あたりの最大購入価格は999円だと公表しています。

ここから分かるのは、イン・ザ・マネーのコールは条件を満たしている状態で買う代わりに、外したときに失う額も大きいということです。1回の損失は購入価格が上限ですが、その上限そのものが上がります。深いアウト・オブ・ザ・マネーのコールはその逆で、安く買えますが、安いことは条件を満たす可能性が低いという意味です。ペイアウトが固定であることの意味はペイアウトが1,000円で固定される理由で、払う側の金額の呼び方はオプション料とはで扱っています。

ディープ・イン・ザ・マネーでは、価格がほとんど動かない

状態の違いは、価格の動きかたにも出ます。IG証券は取引概要で、オプションの残存期間が短くなると権利行使価格等と原資産価格が接近した銘柄(アットザマネー近辺の銘柄)において、取引価格のボラティリティが大きくなると注記し、このような場合には各銘柄のスプレッドが広がったり、約定時にスリッページが発生することがあるとしています。

反対に、原資産価格が権利行使価格等から大きく離れている銘柄(ディープインザマネー、またはディープアウトオブザマネーの銘柄)については、取引価格のボラティリティが大きく低下しているため、原資産価格の変動に対して取引価格の変動が著しく小さいか、変動が生じない場合があると書いています。深く入った銘柄は、相場が動いても価格が反応しなくなります。

コールの状態ごとに購入価格の水準、取引価格の動きやすさ、注意点を各社の公表説明で並べた比較マトリクス。ディープ・イン・ザ・マネーは可能性が高いほど価格が高くなり、取引価格のボラティリティが大きく低下して原資産価格が動いても取引価格の変動が著しく小さく、払う額が大きいので外れたときの損失額も大きい。アット・ザ・マネー近辺は価格が上と下の中間で、取引価格のボラティリティが大きくなりスプレッド拡大やスリッページが起き、満期前はスプレッドが広がる傾向がある。ディープ・アウト・オブ・ザ・マネーは可能性が低いほど価格が安く下限は約40円から50円で、価格が反応しない場合があり、安いことは条件を満たす可能性が低いという意味になる
図2:同じ「コール」でも、状態によって価格の説明が変わります取引価格の動きやすさの列はIG証券「バイナリーオプション取引概要」、購入価格の水準はみんなのオプション「購入価格とペイアウト」と各社の公表範囲、満期前のスプレッドはGMOクリック証券「取引ルール」(いずれも2026年11月2日確認)。「上と下の中間」は当サイトの整理です

GMOクリック証券も、重要経済指標の発表前後やインターバンク市場の流動性低下時、各回号の満期前はスプレッドが広がる傾向があると書いています。アット・ザ・マネー近辺でぎりぎりの取引をすると、画面に出ている価格と約定する価格がずれやすい場面に、自分から入ることになります。深いイン・ザ・マネーのコールを持っている場合は逆の問題が出ます。価格が動かないため、判定を待たずに売っても戻る金額がほとんど増えません。途中で手放す操作は途中売却とはにまとめています。

判定するのは判定時刻の一点だけ

ここがいちばん誤解しやすいところです。国内各社のバイナリーオプションはヨーロピアンタイプで、権利行使できるのは満期の時点だけです。GMO外貨は「判定時間になり、権利行使価格に到達していれば自動的に権利行使され、到達していなければ自動的に権利は消滅します」と公表し、楽天証券も、判定時刻までに購入したオプションを売却しなかった場合は判定時刻において自動的に権利行使が行われるとしています。

1回号の中で原資産価格が権利行使価格の上下を行き来しても、結果は判定時刻の一点だけで決まることを示したタイムライン図。上の帯はコールがイン・ザ・マネーの範囲、下の帯はアウト・オブ・ザ・マネーの範囲で、仮定の値動きの線が両方を何度も行き来している。回号の開始時には開始1分前の原資産価格を基準に権利行使価格が設定され、満期時刻の2分前以降は新規と決済の注文受付が停止し、判定時刻にはその時点の判定価格だけが権利行使価格と比べられて自動的に権利行使または権利消滅となる。この図では仮定として判定時刻に権利行使価格より下にあり、コールの権利は消滅する
図3:イン・ザ・マネーで過ごした時間の長さは、結果に関係しません自動権利行使と権利消滅の表記はGMO外貨「オプトレ! 取引概要」と楽天証券「サービス概要」、注文受付の停止はGMOクリック証券「取引ルール」(いずれも2026年11月2日確認)。線は説明のための仮定の値動きで、実際のレートではありません

回号の長さは、GMOクリック証券が1回号3時間、楽天証券・GMO外貨・外為どっとコムが2時間です。その2時間や3時間のあいだイン・ザ・マネーで推移していても、判定時刻にアウト・オブ・ザ・マネーなら権利は消滅します。逆に、ずっとアウト・オブ・ザ・マネーだったコールが、判定時刻の直前に上回ってペイアウトになることもあります。

しかも、終盤は手を出せません。GMOクリック証券は各回号の満期時刻2分前以降は新規・決済ともに注文受付を停止すると公表しており、外為どっとコムは1回号2時間のうち取引可能時間を1時間58分、判定期間を2分として公表しています。残り2分でイン・ザ・マネーへ戻っても、買い直しも売却もできません。締切の扱いは購入の締切で、判定価格の取り方は判定価格とはで確認できます。

アット・ザ・マネーは、コール側が条件を満たす

一般のオプションでのアット・ザ・マネーは、定義のとおり「権利行使を行った場合の損益がゼロの状態」です。ところがバイナリーオプションの判定では、同じ値のときに引き分けになりません。6社はコールの条件を「判定価格≧権利行使価格」または「判定価格が権利行使価格以上」、プットの条件を「未満」または「<」と書いています。判定価格と権利行使価格がぴったり同じなら、コールの側がペイアウトを受け取ります。

同じ値になる可能性は、判定に使う桁数で変わります。GMO外貨は、権利行使の判定に使用する桁数を対円通貨ペアで小数第3位(小数第4位以下切り捨て)、対ドル通貨ペアで小数第5位(小数第6位以下切り捨て)までと公表しています。外為どっとコムもEUR/USD以外は小数第3位まで、EUR/USDは小数第5位までとしています。桁を切り捨てる扱いがあるため、同じ値はまれですが起こり得ます。この場合の結果は判定価格と権利行使価格が同じになったときで詳しく見ています。

この言葉が出てくるのは、参照した範囲では2社

用語としての「イン・ザ・マネー」は、国内6社の公式ページのどこにでも出てくるわけではありません。今回参照したページで使われていたのは2社です。

会社(サービス)用語の使用使われている文脈コールの条件の書き方
GMOクリック証券(外為オプション)イン・ザ・マネー/アット・ザ・マネー/アウト・オブ・ザ・マネー予備知識「プレミアムとは」で、本質的価値の3つの状態として定義判定価格≧権利行使価格 の場合
楽天証券(らくオプ)--判定価格が権利行使価格以上の水準となった場合
みんなのオプション--判定価格≧権利行使価格の場合
GMO外貨(オプトレ!)--判定価格が権利行使価格以上の場合
外為どっとコム(外貨ネクストバイナリー)--判定価格≧権利行使価格 の場合
IG証券アットザマネー近辺/ディープインザマネー/ディープアウトオブザマネー取引概要「取引価格のボラティリティに関するご留意事項」で、価格の変動しやすさの説明に使用判定価格が権利行使価格以上の場合
表2:用語が出てこない会社でも、条件の書き方は同じです出典は各社の取引ルール・サービス概要・取引概要・予備知識のページ(いずれも2026年11月2日確認)。「-」は参照したページで用語を確認できなかったという意味で、その会社に状態の区別が無いという意味ではありません。取引画面の表示は対象に含めていません

つまり、この3つの呼び名は商品の仕組みではなく、説明のための言葉です。自分が使う会社の規程には出てこない可能性が高く、規程では「判定価格≧権利行使価格」のような条件として書かれています。解説や他の商品の説明でこの言葉を見かけたときは、自分の口座の規程にある条件の書き方へ置き換えて読むほうが確実です。6社の条件の並びは国内6社の比較にもまとめています。

GMOクリック証券の外為オプションを案内する公式ページの画面
イン・ザ・マネー・アット・ザ・マネー・アウト・オブ・ザ・マネーの3つを定義し、あわせて「バイナリーオプションなので、この表とは多少異なる」と注記している予備知識を公開しているGMOクリック証券の外為オプション公式ページの引用キャプチャ(ロゴ・商標の権利は運営会社に帰属)。定義は同サイトの予備知識「プレミアムとは」に掲載されています。出典 GMOクリック証券/キャプチャ取得日 2026年8月21日、記載の確認日 2026年11月2日

「今はイン・ザ・マネー」を勝率に読み替えない

最後に、この言葉を使うときに起きやすい取り違えを4つ挙げます。

  1. 状態の呼び名であって、有利さの度合いではない。イン・ザ・マネーは「今の原資産価格が権利行使価格より上にある」という事実を指すだけで、判定時刻にどうなるかを示しません
  2. 購入価格は確率そのものではない。GMOクリック証券・楽天証券・外為どっとコムは、理論値にリスクプレミアム(スプレッド)を加えた値を取引価格として提示すると公表しています。GMO外貨の計算例では、スプレッドを40円とした場合に「ペイアウト額1,000円 ≠ コールオプション価格 620円 + プットオプション価格 420円」になります
  3. 判定は一点だけ。イン・ザ・マネーで推移した時間の長さは、結果と関係しません
  4. 安いコールは「可能性が低い」という意味。GMOクリック証券は権利行使価格の値幅・本数を、回号開始直後から極端に高いペイアウト倍率とならないよう設定すると公表し、外為どっとコムも、回号開始直後に極端に高倍率なラダー構成とならないよう設定するとしています

2番目に関連して、購入価格から必要な勝率を出すことはできます。GMO外貨の計算例にあるコールの620円を、ペイアウト1,000円・手数料0円の条件で何度も買うと仮定すると、損益が釣り合う勝率は620÷1,000で62%です(この数字は当サイトの計算で、仮定の条件にもとづく試算です。将来の結果や特定の会社の実績を示すものではありません)。計算の考え方は損益分岐勝率とは、入力を変えて試すなら損益分岐勝率の計算が使えます。

金融庁は、バイナリーオプション取引について、短期間に繰り返し取引した結果、多額の損失を被るおそれがあると注意を促しています。IG証券も取引概要で、取引金額が少額であっても多数回の取引を繰り返し行うことによって多額の損失を被る恐れがあると書いています。1回あたりの損失に上限があることと、資金が減らないことは別です。この点は損失が限定される意味で扱っています。

あわせて覚える用語

この記事に出てきた言葉は、それぞれ別の用語です。次の順に押さえると、各社の説明が読みやすくなります。

  • 本質的価値:権利行使を行ったときに得られる価値。3つの状態は、この価値を損益の観点から分けた呼び名です
  • 時間的価値:将来の価格変動に対する期待値。満期までの残り時間が長いほど大きくなります
  • 権利行使価格:状態の境目になる価格。各社が回号の開始前に設定します。権利行使価格とは
  • 判定価格:判定時刻に権利行使価格と比べる価格。どのレートを使うかは会社ごとに違います。判定価格とは
  • ラダー:権利行使価格が階段状に並ぶ取引の型。並んだ分だけ、イン・ザ・マネーのコールとアウト・オブ・ザ・マネーのコールが同時に存在します。ラダー取引とは

掲載した6社はいずれも金融庁の登録を受けた国内の業者で、このページの掲載順は評価ではありません。登録の有無を自分で確かめる手順は登録業者の確認方法にあります。取引ルールや価格の範囲は変更されることがあるため、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。当サイトが参照する情報の基準は情報源について、取引前に押さえておく点は投資リスクについてに書いています。

この記事の出典

金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。