コール

バイナリーオプションのコールとは?語源と6社での呼び方・条件

コールは、判定価格が権利行使価格以上ならペイアウトを受け取れるオプションです。もとの「買う権利」との違い、「円安」と呼ばれる理由、プットと価格を足しても1,000円にならない理由を国内6社の公式ページで確かめます。

バイナリーオプションのコールとは?語源と6社での呼び方・条件

バイナリーオプションの「コール」は、判定価格が権利行使価格以上になったときにペイアウトを受け取れるオプションのことです。国内でバイナリーオプションを扱う6社は、いずれも公式ページでこの条件を「以上」または「≧」と書いています(2026年9月18日確認)。判定価格と権利行使価格が同じ値になった場合も、コールの側が条件を満たします。

ただし、「コール」という言葉はバイナリーオプションで生まれたものではありません。一般のオプション取引では、コールは「買う権利」を指します。バイナリーオプションは、そこへ「条件を満たせば一定額を受け取る」という決まりを付け足した商品なので、名前は同じでも損益の形がまったく違います。さらに、同じコールを会社によって「円安」「ドル安」「以上に上昇」と呼んでいるため、説明を読み比べると別のものに見えることがあります。

この記事では、コールという用語の由来、各社での呼ばれ方、反対側にあるプットとの価格の関係、IG証券にだけある「コールを売る」取引までを順に整理します。注文画面での選び方や確認の手順はコール・プットの注文時の意味で扱っているので、ここでは用語として押さえておくべきことに絞ります。

コールの意味は「判定価格が権利行使価格以上なら受け取れる」

まず用語の中身です。コールを構成しているのは、次の3つの決まりです。

  • 比べるもの:判定時刻の判定価格と、購入時に選んだ権利行使価格
  • 条件:判定価格が権利行使価格「以上」(同じ値を含む)
  • 受け取るもの:条件を満たしたときのペイアウト。国内5社は1枚(1Lot・1口)あたり1,000円で固定

たとえば楽天証券は、コール・オプションを購入した場合について「判定価格が権利行使価格以上の水準となった場合にのみ、ペイアウト額が支払われます」と書いています。みんなのオプションと外為どっとコムは「判定価格≧権利行使価格」という式で示しています。表現は違っても、6社の条件は同じです。

条件を満たさなかった場合は、ペイアウトを受け取れず、購入時に支払った金額がそのまま損失になります。みんなのオプションは「お客様の予測が外れた場合は、ペイアウト金額を受け取ることはできません。購入金額がお客様の損失となります」と明記しています。

条件に等号が入るのはコールの側だけで、反対のプットは「未満」です。同じ値になったときの扱いは判定価格と権利行使価格が同じになったときで詳しく説明しています。ラダー取引の画面で「上」を選ぶ操作との対応はラダー取引の上を選ぶとはにまとめました。

もとは「買う権利」:一般のオプションでのコール

GMOクリック証券は、一般的なオプション取引を「ある商品を将来の特定の期日に、特定の価格で買う権利、または売る権利を売買する取引」と説明し、買う権利のことを「コールオプション」、売る権利のことを「プットオプション」と呼ぶとしています。コールという呼び名は、ここから来ています。

一般のコールの買い手は、権利を行使すると、あらかじめ決めた価格(権利行使価格)で対象の商品を買えます。満期のレートが権利行使価格より高ければ、安く買って高く売れる分だけ利益が出ます。GMOクリック証券の説明例では、プレミアム10円・権利行使価格80円のドル円のコールを買い、満期のレートが120円なら30円の利益、75円なら権利を放棄して10円の損失です。同社の表では、コールの買いの損益を「利益:無限」「損失:プレミアムの金額分」としています。

バイナリーオプションは、同じGMOクリック証券の分類では「エキゾチック・オプション」の一つで、「満期時点で、原資産価格が権利行使価格に達した場合、一定の金額を受け取るオプション」です。また、権利行使のときに商品そのものを受け渡さず差額だけを授受する「差金決済型オプション」の一部だとも書いています。つまりバイナリーのコールでは、ドルを買う権利が手に入るのではなく、条件を満たしたら決まった額のお金を受け取るだけです。

通常のコールとバイナリーのコールの満期時の損益を左右に並べた図。左の通常のコールはプレミアム10円・権利行使価格80円の例で、80円以下なら10円の損失、90円で損益0、120円なら30円の利益と、上がるほど利益が増える。右のバイナリーのコールは購入価格500円・ペイアウト1,000円と仮定した例で、権利行使価格より下なら500円の損失、以上なら500円の利益で、どれだけ上回っても利益は変わらない
図1:同じ「コール」でも、通常のコールは右上がりの線、バイナリーのコールは段差になります左はGMOクリック証券「オプション取引とは」の取引例(プレミアム10円・権利行使価格80円)の数値で作図し、損益0の90円は当サイトが計算しました。右の購入価格500円は仮定の値で、ペイアウト1,000円と「判定価格≧権利行使価格」の条件は国内各社の公表内容です(いずれも2026年9月18日確認)

図1の左右を見比べると、違いは2つあります。1つ目は、バイナリーのコールは権利行使価格をどれだけ上回っても利益が増えないことです。1銭上回っても、大きく上回っても、受け取るのは1枚1,000円です。2つ目は、権利行使価格を境に損益が一気に切り替わることです。通常のコールは権利行使価格の近くでは損益が少しずつ変わりますが、バイナリーのコールは境目のすぐ上と下で、支払った全額を失うか、ペイアウトとの差額を得るかに分かれます。

ここから分かるのは、「コール」という名前から通常のオプションの性質を連想しても、損益の見当はつかないということです。バイナリーのコールで考えるべきなのは、上がる幅ではなく判定時刻に境目のどちら側にいるかだけです。

同じコールを、6社はこう呼んでいる

国内6社の公式ページでは、コールにあたるものが次の名前で書かれています。規程や取引概要での正式な名前と、条件の書き方を並べました。

会社(サービス)公式ページでの名称条件の書き方
GMOクリック証券(外為オプション)ラダーバイナリーコールオプション。損益の説明では「円安予測」、両建の説明では「円安」(対ドル通貨ペアは「ドル安」)判定価格≧権利行使価格 の場合
楽天証券(らくオプ)コール・オプション判定価格が権利行使価格以上の水準となった場合
みんなのオプションコールオプション判定価格≧権利行使価格の場合、ペイアウト発生
GMO外貨(オプトレ!)店頭通貨バイナリーコールオプション判定価格が権利行使価格以上の場合
外為どっとコム(外貨ネクストバイナリー)コールオプション判定価格≧権利行使価格 の場合
IG証券コール(銘柄名は「原資産名+取引終了時刻+権利行使価格+『以上に上昇』」)判定価格が権利行使価格以上の場合
表1:名前は6通りでも、条件はすべて「以上」です出典は各社の取引ルール・サービス概要・取引概要のページ(いずれも2026年9月18日確認)。GMOクリック証券の「円安予測」は「損益(外為オプション 予備知識)」、「円安」「ドル安」は「外為オプション取引ルール」の両建の項の記載です。取引画面のボタンの文言は、この表の対象に含めていません

表1で気をつけたいのは、GMOクリック証券とIG証券では、コールが別の言葉で説明されていることです。GMOクリック証券は損益の説明を「円安予測」「円高予測」で書き、取引ルールの判定処理の項で「ラダーバイナリーコールオプション」という正式な名前を使っています。IG証券は、銘柄の名前そのものを「以上に上昇」で終わる形にしています。どちらも、呼び方が違うだけで中身は他社のコールと同じです。

逆に言えば、ある会社の説明で「円安」と書かれているものを、規程で調べるときには「コール」の項を探す必要があります。問い合わせや取引履歴の確認で用語がかみ合わないときは、この対応を思い出してください。

「円安」「ドル安」と呼ばれるのは、コールが同時に円のプットだから

GMOクリック証券がコールを「円安」と呼ぶのには理由があります。同社の「オプションの種類」の説明には、「ドルコール・円プットオプションの買い手が権利行使すると、権利行使価格でドル買い・円売りポジションを保有することになります」という一文があります。

通貨のオプションでは、ドルを買う権利は、裏を返せば円を売る権利でもあります。米ドル/円のコールはドルのコールであると同時に円のプットで、ドルが上がる(=円が下がる)側に立つ取引です。だから米ドル/円のコールは「円安」と呼べます。

同じ理屈で、ユーロ/米ドルのコールは、ユーロが上がる(=米ドルが下がる)側です。GMOクリック証券が対ドル通貨ペアでは「ドル安」と書き分けているのはこのためです。コールを常に「円安」と覚えると、ユーロ/米ドルで取り違えます。コールが指しているのは、あくまで「通貨ペアの表示レートが権利行使価格以上になる側」です。円高・円安と通貨ペアの読み方の関係は円高・円安とバイナリーオプションで確認できます。

コールとプットは表と裏。それでも価格を足すと1,000円を超える

同じ回号・同じ権利行使価格で見ると、コールの条件は「以上」、プットの条件は「未満」です。どんな判定価格が出ても、必ずどちらか一方だけが条件を満たします。両方が当たることも、両方が外れることもありません。

このため理屈の上では、同じ権利行使価格のコールとプットの価値を足すとペイアウトと同じ額になります。GMO外貨も、売却価格について「理論的には、権利行使条件が同一となっているコールオプションとプットオプションの売却価格の和はペイアウト額と等しくなります」と書いています(ただし実際の売却価格は理論値と異なる値になるとも付け加えています)。みんなのオプションは売却価格を理論値としており、「ペイアウト額=コールオプションの売却価格+プットオプションの売却価格」となると書いています。

ところが、購入価格は足してもペイアウトになりません。楽天証券、みんなのオプション、GMO外貨、外為どっとコムは、そろって「ペイアウト額=コールの購入価格+プットの購入価格」とはならないと明記しています。理論値に会社の収益やリスクプレミアムが上乗せされているためです。

GMO外貨の計算例で、ペイアウト1,000円に対し、同じ権利行使価格のコールの購入価格620円とプットの購入価格420円を足すと1,040円になり、差の40円がスプレッドにあたることを示した図。判定では必ずどちらか一方だけが1,000円を受け取るため、両方を買うと40円の損失になる
図2:コールとプットを両方買うと、受け取りより支払いが40円多くなります620円・420円・スプレッド40円は、GMO外貨「オプトレ!取引概要」が購入価格の決定方法の説明に載せている計算例の値で、実際の購入価格ではありません。−40円は当サイトの計算です。両建の扱いはGMOクリック証券「外為オプション取引ルール」の記載です(いずれも2026年9月18日確認)

GMO外貨の計算例では、スプレッドを40円とした場合に「ペイアウト額1,000円 ≠ コールオプション価格 620円 + プットオプション価格 420円」となっています。この条件で両方を買うと、1,040円を払って、判定でどちらか一方から1,000円を受け取るだけなので、相場がどちらへ動いても40円が残って損失になります。GMOクリック証券は、同じ権利行使価格で円高・円安(対ドル通貨ペアはドル高・ドル安)の両方を購入する両建を「経済合理性を欠く取引」として受け付けていません。

用語として押さえておきたいのは、コールの購入価格は「上になる確率」そのものではないという点です。購入価格にはスプレッドが含まれ、その幅は会社や回号、相場の状況で変わります。コールの価格とプットの価格から勝ちやすさを読み取ろうとしても、その差の分だけずれます。購入価格とペイアウトの関係はペイアウトとはで扱っています。

IG証券では「コールを売る」ことができる

国内5社では、新規の取引は購入だけです。楽天証券は「新規取引としてオプションの売却から開始することはできません」、GMOクリック証券は「新規取引は購入、決済取引は売却」と書いています。この5社で下がる側に立つには、プットを買います

IG証券は仕組みが違います。取引概要の商品区分の表で、ラダーオプションの「コール、プットの扱い」は「コール」だけです。そのかわり、新規の買付取引と新規の売付取引の両方ができます。上がると考えるならコールを買い、上がらないと考えるならコールを売る、という形です。

取引最大利益最大損失「以上」になったとき
コールの買いペイアウト-プレミアムプレミアム支払分100ポイントで清算され、受け取る側
コールの売りプレミアム受取分ペイアウト-プレミアム100ポイントで清算され、支払う側
表2:IG証券ではコールだけを扱い、下がる側には「売り」で立ちます最大利益と最大損失はIG証券「バイナリーオプション取引概要」の表の記載、右端の列は同ページの清算判定の説明(判定価格が権利行使価格以上なら取引価格100ポイントで清算)を当サイトが買い・売りに当てはめたものです(2026年9月18日確認)

IG証券の価格は0から100ポイントの範囲で提示され、ペイアウトが発生すれば100ポイント、発生しなければ0ポイントで清算されます。損益通貨が日本円の銘柄では、1ロットの取引でペイアウト額が100,000円、0.1ロットで10,000円です。他の5社の「1枚1,000円」と単位が違うので、価格の数字をそのまま比べられません。

コールの売りは、判定価格が権利行使価格以上になると、ペイアウトからプレミアムを引いた額が損失になります。IG証券はこの取引を証拠金取引として扱い、最大損失相当額を維持証拠金として管理するとしています。他社のプットと結果の向きは似ていても、損失の大きさの決まり方は別物です。IG証券の証拠金の扱いはIG証券のバイナリーオプションと証拠金取引で詳しく扱っています。

IG証券のバイナリーオプションを案内する公式ページの画面
ラダーオプションをコールだけで構成し、買いと売りの両方を受け付けているIG証券のバイナリーオプションの公式ページの引用キャプチャ(ロゴ・商標の権利は運営会社に帰属)。「コール、プットの扱い」と最大利益・最大損失の表は、同社の取引概要のページに載っています。出典 IG証券/キャプチャ取得日 2026年8月21日、取引概要の記載の確認日 2026年9月18日

「コール」で起きやすい4つの取り違え

ここまでの内容から、用語としてのコールで混同しやすい点をまとめます。

  1. 「コール=買い注文」ではない。国内5社では、コールもプットも「購入」する取引です。「プットを買う」は正しい言い方です。コールの「買う」は、もとの意味である「原資産を買う権利」に由来します
  2. 「コール=円安」は米ドル/円などの対円通貨ペアでの話。ユーロ/米ドルのコールは、ユーロ高・ドル安の側です
  3. 「コールは上がるほど得」ではない。バイナリーのコールは、権利行使価格以上になれば受け取る額は同じです。上がる幅は損益に関係しません
  4. 「コールとプットを両方買えば損をしない」は誤り。購入価格の合計はペイアウトを上回るため、判定の結果にかかわらず差額が損失になります

もう一つ、名前とは別に意識しておきたいことがあります。コールを買った場合の1回あたりの損失は、支払った購入価格までに限られます。ただしIG証券は取引概要で、取引金額が少額であっても「多数回の取引を繰り返し行うことによって、多額の損失を被る恐れがあります」と注意を促しています。1回の損失に上限があることと、資金が減らないことは別です。この点は損失が限定される意味で詳しく扱っています。

コールとあわせて覚える用語

コールの定義に出てくる言葉は、それぞれ別の用語です。次の順に押さえると、規程の文章が読みやすくなります。

  • 権利行使価格:コールの境目になる価格。各社が回号の開始前に設定します。権利行使価格とは
  • 判定価格:判定時刻に権利行使価格と比べる価格。どのレートを使うかは会社ごとに違います。判定価格とは
  • プット:コールの反対側で、判定価格が権利行使価格「未満」のときに受け取れるオプション。ラダー取引の下を選ぶとは
  • ラダー:権利行使価格が階段状に並び、それぞれについてコールかプットかを選ぶ取引の型。ラダー取引とは

なお、GMO外貨が扱うレンジオプションには、コールもプットもありません。上下2つの権利行使価格に挟まれた範囲に対して「レンジイン」「レンジアウト」を選ぶ別の型です。

どの会社でコールを取引するにしても、条件の「以上」と1枚あたりのペイアウトは、口座を開く前に公式の取引ルールで確かめられます。掲載した6社はいずれも金融庁の登録を受けた国内の業者で、取引ルールの違いは国内6社の比較で並べています。

この記事の出典

金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。