損益分岐勝率計算

損益分岐勝率の計算|価格と口数が違う取引をまとめて出す方法

複数回の取引をまとめた損益分岐勝率は、代金の合計を1,000円×総口数で割って出します。価格も口数も違う10取引の記録例で、口数で重み付けした平均購入価格、必要な勝ち口数、取引の件数で数えると符号がずれる理由を、各社の公表値と計算過程つきで確かめます。

何回かまとめた取引の損益分岐勝率は、代金の合計 ÷(1,000円 × 総口数)で出ます。1回ぶんなら購入価格を1,000円で割るだけですが、価格も口数も毎回違う記録では、分母に口数の合計を置かないと損益の符号と合わなくなります。

ここが取り違えやすいところです。勝率を「10回のうち5回勝った=50%」と取引の件数で数えると、口数を変えている人は結果とずれます。この記事で使う記録例では、件数で数えた勝率は50%で分岐勝率45%を上回っているのに、実際の損益は−5,500円です。口数で数え直すと勝率25%、分岐勝率52.5%で、ちゃんとマイナスになります。

この記事では、1回ぶんの早見表、複数回をまとめる式、10取引の記録例での検算、分母を取り違えたときのずれ、取引履歴からの出し方を順に扱います。1回ぶんの意味と発注前の使い方は損益分岐点の計算に分けてあるので、ここではすでに積み上がった記録を計算する側に絞ります。なお、この計算は損益が釣り合う地点を示すだけで、その勝率に届く方法を示すものではありません。

1回ぶんは購入価格を1,000円で割る

国内の各社は、受け取る額を固定して支払う額のほうを動かしています。GMOクリック証券と楽天証券はペイアウトを「1枚につき1,000円(固定)」、みんなのオプションは「予測どおりになった場合には1Lotあたり一律1,000円のペイアウトが受け取れます」、GMO外貨は「1口あたり1,000円のペイアウトが生じます」、外為どっとコムは「1Lotにつき1,000円(固定)」と公表しています(いずれも2026年10月12日確認)。取引手数料も、この5社はそれぞれ「0円」「取引手数料は無料です」「各取引の取引手数料及び口座管理費は無料です」「取引手数料 無料」「無料」としています。

受け取る側が1,000円で固定されているので、1口ぶんの損益分岐勝率は購入価格を1,000円で割った値になります。下は価格ごとに引ける表です。当たったときの受取差額と外れたときの損失額も並べました。この2つは金額が対称ではないので、同じ表で見ておくほうが判断を誤りません。

購入価格 分岐勝率 ペイアウト倍率 当たったときの受取差額 外れたときの損失
50円 5.0% 20.0倍 +950円 −50円
100円 10.0% 10.0倍 +900円 −100円
200円 20.0% 5.0倍 +800円 −200円
300円 30.0% 約3.3倍 +700円 −300円
400円 40.0% 2.5倍 +600円 −400円
470円 47.0% 約2.1倍 +530円 −470円
500円 50.0% 2.0倍 +500円 −500円
620円 62.0% 約1.6倍 +380円 −620円
700円 70.0% 約1.4倍 +300円 −700円
800円 80.0% 1.25倍 +200円 −800円
900円 90.0% 約1.1倍 +100円 −900円
990円 99.0% 約1.01倍 +10円 −990円

倍率の列は、金融先物取引業協会がペイアウト倍率を「ペイアウト額をオプション価格で除した値」と定義していることに合わせて、1,000円を購入価格で割った値を置きました。同協会は、取引画面などで「ペイアウト倍率を中心に表示し、お客様と取引することは禁止」としています(2026年10月12日確認)。倍率は大きな数字ほど目を引きますが、倍率が大きいことは当たりにくいことと同じ意味です。表の上の行がそれで、20.0倍の行は分岐勝率5.0%、つまり20口に1口当てて釣り合う水準です。

分岐勝率が何ポイント刻みで動くかは、価格の刻みで決まります。GMO外貨は「オプション1口あたりでの最小の値幅(刻み値)は10円です」と公表しているので、分岐勝率は1.0ポイント刻みで動きます。呼値が1円の楽天証券と外為どっとコムでは0.1ポイント刻みです。価格そのものの範囲も会社ごとに違い、みんなのオプションは「チケットの購入価格は1Lotあたり50円~990円」、GMO外貨は「1口あたりの金額は40円~990円」、外為どっとコムは「1Lotあたり約40円~1,000円で変動します」としたうえで、1,000円では購入できないと書いています(いずれも2026年10月12日確認)。

GMO外貨のバイナリーオプション「オプトレ!」を案内する公式ページのファーストビュー
「1口あたりの金額は40円~990円」「オプション1口あたりでの最小の値幅(刻み値)は10円です」「1口あたり1,000円のペイアウトが生じます」と記載しているGMO外貨の公式ページの引用キャプチャ(ロゴ・商標の権利は運営会社に帰属)。刻み値と価格帯はオプトレ!のお取引ルールのページにあります。出典 GMO外貨「オプトレ!」/キャプチャ取得日 2026年8月21日、記載の確認日 2026年10月12日

価格帯は口座を開く前に確かめる項目なので、会社ごとの一覧は国内6社の比較と最低購入額の比較に置いています。価格がどう決まるかは購入価格とは、率という言葉の使い分けはペイアウト率とはで扱いました。

複数回をまとめるときは、分母に口数の合計を置く

ここからが本題です。1か月ぶんの記録をまとめるとき、価格も口数も回ごとに違います。それでも式は難しくなりません。必要なのは3つの合計だけです。

取引履歴の3つの列から複数回の損益分岐勝率を出す関係図。履歴から拾う列は購入価格(1口あたりの支払額、例620円)、口数(その取引で買った単位数、例3口)、勝敗(判定時刻の結果)。合計すると代金の合計Cは購入価格×口数の総和で10,500円、総口数Nは20口、勝った口数Wは5口。分岐勝率はCを1,000円×Nで割って10,500÷20,000で52.5%、実績勝率はWをNで割って5÷20で25%。損益は1,000円×W−Cで5,000円−10,500円の−5,500円
図1:拾う列は3つ、作る合計は3つ、比べる割合は2つですペイアウト1単位1,000円・取引手数料0円という前提はGMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」とみんなのオプション「購入価格とペイアウト」の記載によります(2026年10月12日確認)。10取引ぶんの価格・口数・勝敗は、計算の手順を示すために置いた仮定の記録です

代金の合計をC、総口数をN、勝った口数をWと置きます。受け取るのは勝った口数ぶんの1,000円だけで、代金はすべての取引で払っています。したがって期間の損益は1,000円 × W − Cです。これが0になる地点を勝率の形で書くと、Wの比率がCを1,000円とNの積で割った値に等しいときになります。つまり分岐勝率は「代金の合計 ÷(1,000円 × 総口数)」で、これは口数で重み付けした平均購入価格を1,000円で割った値と同じです。

金額のまま見たいなら、割らずに済ませる道もあります。代金の合計を1,000円で割れば、釣り合うのに必要な勝ち口数がそのまま出ます。代金が10,500円なら10.5口で、0.1口では買えないため切り上げて11口と読みます。勝率に直すより、必要な勝ち口数で持っておくほうが実感と結び付きます。

10取引の記録例で検算する

式だけでは手応えがないので、仮の記録で通してみます。価格は国内各社が公表している範囲の中から選び、口数だけを変えました。実際の相場や特定の会社の提示価格を再現したものではありません。

回 購入価格 口数 代金 結果 受取
1 620円 3口 1,860円 × 0円
2 190円 1口 190円 ○ 1,000円
3 580円 3口 1,740円 × 0円
4 300円 1口 300円 ○ 1,000円
5 660円 3口 1,980円 × 0円
6 470円 1口 470円 ○ 1,000円
7 540円 3口 1,620円 × 0円
8 230円 1口 230円 ○ 1,000円
9 600円 3口 1,800円 × 0円
10 310円 1口 310円 ○ 1,000円
合計 - 20口 10,500円 5勝5敗 5,000円

代金の合計は10,500円、総口数は20口です。口数で重み付けした平均購入価格は10,500円を20口で割って525円、分岐勝率は52.5%になります。勝ったのは1口の取引ばかりだったので、勝った口数は5口、口数で数えた実績勝率は25%です。25%は52.5%を27.5ポイント下回っているので、損益はマイナスになります。実際に式へ入れると5,000円から10,500円を引いて−5,500円です。

記録例10取引を金額で比べた横棒グラフ。横軸は0円から12,000円。払った側の棒は代金の合計10,500円、受け取った側の棒はペイアウト5,000円で、差額は−5,500円の損失。10,500円の位置に釣り合う点の破線がある。必要な勝ち口数は10,500円÷1,000円の10.5口で、切り上げて11口。実際に勝ったのは5口で、総口数20口に対して25%
図2:釣り合う点は、受け取った額が払った代金に並ぶところですペイアウト1単位1,000円・取引手数料無料という前提は外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー 取引概要」とGMO外貨「オプトレ!のお取引ルール」の記載によります(2026年10月12日確認)。10取引の価格・口数・勝敗は仮定の記録で、実際の提示価格ではありません

図で見ると、2本の棒の差がそのまま損益です。必要な勝ち口数は10.5口、切り上げて11口でしたから、20口のうち11口当てて初めて釣り合います。5口では半分にも届いていません。件数では5勝5敗の引き分けに見えても、口数では20口中5口です。この差が、次の節で見るずれの正体です。

分母を取り違えると、符号まで変わる

同じ記録から、取引の件数で平均した場合も出してみます。10件の購入価格を足すと4,500円で、10で割ると450円です。分岐勝率は45%になります。件数で数えた勝率は50%なので、45%を上回っていて利益が出ていそうに見えます。けれども実際の損益は−5,500円です。

平均購入価格の出し方を2通り並べた左右比較図。左は口数で重み付ける数え方で、代金の合計10,500円÷総口数20口=525円、分岐勝率52.5%、実績勝率は口数ベースで25%、損益はマイナスで実際の−5,500円と一致する。右は取引の件数で平均する数え方で、購入価格の合計4,500円÷10取引=450円、分岐勝率45%、実績勝率は件数ベースで50%となり利益と読んでしまうが、実際の損益は−5,500円で符号が逆になる
図3:同じ記録でも、分母を件数にすると判定が反対になります左右とも仮定の記録例(代金の合計10,500円・総口数20口・勝った口数5口)から当サイトが計算した値です。前提はペイアウト1単位1,000円・取引手数料0円・判定時刻まで保有(GMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」、みんなのオプション「購入価格とペイアウト」。2026年10月12日確認)

原因は単純です。この記録では、負けた5取引が3口ずつ、勝った5取引が1口ずつでした。件数で数えると、この偏りが計算から消えます。損益の式が口数で動いているのに、判定の式だけ件数で作ったので、符号まで入れ替わりました。分母は損益の式に合わせると覚えておけば迷いません。逆に、毎回同じ口数で買っているなら、件数で数えても口数で数えても同じ値になります。差が出るのは口数を変えたときだけです。

ここで用語の整理をしておきます。このサイトでは、勝率という言葉を2つの用途で使い分けています。予想がどれだけ当たるかを測るときの分母は、判定まで持った取引の回数です。同じ回号で3口まとめて買った回を3回と数えると、1度しかない判定結果を3回ぶんに水増しすることになり、当たりやすさの推定が歪みます(勝率の数え方とばらつき)。いっぽう、資金が増えているかを判定するときの分母は、損益の式と同じ口数です。前者は予想の精度を測る数字、後者は増減の向きを判定する数字で、目的が違います。口数を毎回同じにしていれば、2つの値は一致します。

どの回で勝ったかは、損益に関係しない

もうひとつ、計算を軽くする性質があります。損益の式は1,000円 × W − Cで、Cは期間が終わった時点で固定されています。すると損益を動かすのは勝った口数Wだけで、どの価格の回で当てたかは結果に入ってきません。高い価格の回を当てても、安い価格の回を当てても、1口なら受け取るのは同じ1,000円です。

1口ずつ10回買って代金の合計が4,700円だった場合で確かめます。平均購入価格は470円、分岐勝率は47%、必要な勝ち口数は4.7口を切り上げて5口です。4勝なら4,000円から4,700円を引いて−700円、5勝なら5,000円から4,700円を引いて+300円になります。この金額は、当たったのが990円の回でも50円の回でも変わりません。価格が効いてくるのは代金の側、つまり買う前の段階だけです。

ここから言えるのは、記録を振り返るときに「高いところを当てた」という感触を成果として数えないほうがよいということです。数えるべきなのは勝った口数と払った代金の合計で、どちらも履歴に数字として残っています。1回あたりの金額で見たいときの計算は期待値の計算にあります。

取引履歴から出すときの順番

実際の記録でやる場合は、次の順で進めると取りこぼしが出ません。

  1. 期間を決める。月ごとでも回号ごとでもかまいませんが、途中で区切りを変えないようにします。区切りを都合よく動かすと、同じ記録から違う結論が出ます
  2. 口数の列を必ず持つ。価格と勝敗だけでは分岐勝率を出せません。履歴に口数が別の列で入っているかを最初に確かめます
  3. 判定まで持った取引と、途中で売った取引を分ける。後者はこの式の対象外です(次の節)
  4. 3つの合計を出す。代金の合計、総口数、勝った口数の3つだけです
  5. 分岐勝率と実績勝率を並べる。代金の合計 ÷(1,000円 × 総口数)と、勝った口数 ÷ 総口数を同じ桁数で書き出します
  6. 損益で検算する。1,000円 × 勝った口数 − 代金の合計が、口座の損益と一致するかを見ます。合わなければ、手数料のかかる商品が混ざっているか、途中売却を分け切れていません

6番目の検算を省かないでください。割合は合っているように見えても、金額で合わないなら前提のどれかが崩れています。

平均購入価格を下げれば分岐勝率は下がる。当たりにくさは上がる

この計算を知ると、平均購入価格を下げれば分岐勝率も下がる、という方向に目が向きます。式の上ではそのとおりです。ただし価格の低さは、当たりにくさがそのまま値段になったものです。みんなのオプションは「目標レートに達する可能性が高い場合はチケット価格は高くなり、可能性が低くなればチケット価格も安くなります。また、判定時間までの残り時間なども、チケット価格に影響しています」と説明しています(2026年10月12日確認)。

金融庁も、バイナリーオプションについて「安いオプション料に惹かれペイアウトを受け取る可能性が低い取引を選好し、短時間で損益結果が判明するために、安易に何度も取引を行ってしまうおそれがあります。そして、短期間に繰り返し取引した結果、多額の損失を被るおそれがあります」と注意喚起しています。分岐勝率を下げること自体は、達成しやすさを上げません。同庁は「一定時間後のレートをピンポイントで高い確度で予測することは非常に困難です」とも書いています。「絶対勝てる」「確実に儲かる」「すぐ簡単に稼げる」といった売り込みをうのみにしないよう、あわせて呼びかけています。

1回あたりに何口買うかという配分は、分岐勝率とは別の話です。資金に対する比率で決める考え方は資金管理の基本にまとめました。取引に伴うリスクの全体像は投資リスクについてに置いています。

この計算が当てはまらない場面

前提が外れる場面を知らないと、当てはまらない場所で使ってしまいます。3つあります。

1つめは途中売却です。各社は判定を待たずに売る手段を用意しており、楽天証券は転売価格を「オプション取引の理論モデルのひとつである『ブラック・ショールズモデル』を当社にて修正した計算モデルに基づいて算出」すると説明しています。途中で売った取引の損益は「売却価格 − 購入価格」で決まり、当たり外れの勝率では説明できません。集計からは外して別に数えます。扱いは途中売却とはにあります。

2つめは手数料です。この記事の式は手数料0円で組み立てています。国内の5社は取引手数料を無料と公表していますが、費用がかかる商品では、その分だけ必要な勝率が上がります。代金の合計に費用を足してから1,000円で割れば、同じ手順で出せます。

3つめは、単位の建て方が違う会社です。IG証券は「0から100の間で価格が0.1刻みで表示されます」という形で価格を提示し、ペイアウトは損益通貨が日本円の場合「1ロット取引時100,000円」、取引単位は「0.1ロット単位のお取引が可能です」としています(2026年10月12日確認)。1口1,000円という前提がそのまま当てはまらないので、分岐勝率は提示価格を100ポイントで割って読みます。計算の建て方の違いは損益分岐点の計算で扱いました。

最後に、回数そのものの限界もあります。分岐勝率を下回った記録が出ても、回数が少なければ、それが実力なのか振れなのかは区別できません。何回あれば区別できるかは勝率の数え方とばらつき、連敗がどのくらいの確率で起きるかは連敗確率の計算で扱っています。

まとめ

まとめた期間の損益分岐勝率は、代金の合計を「1,000円 × 総口数」で割って出します。口数で重み付けした平均購入価格を1,000円で割っても同じ値です。損益の向きを判定するときは、実績勝率も同じ分母、つまり総口数で数えます。件数で数えると、口数を変えている記録では判定が反対になることがあります。

手を動かす順番は、期間を決める、代金の合計と総口数と勝った口数を出す、2つの割合を並べる、金額で検算する、の4つです。必要な勝ち口数は代金の合計を1,000円で割って切り上げれば出ます。価格帯や手数料は変更されるため、集計の前に各社の公式ページで確かめてください。ほかの計算は資金管理・確率、条件ごとの比較は比較・口座選びから辿れます。

この記事の出典

金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。