毎回同じ額で買うなら、残高の計算に必要な数字は4つだけです。残高 = 初期資金 + 勝ち回数 × 1回のペイアウト − 取引回数 × 1回あたりの購入代金。国内のラダー型はペイアウトが1単位1,000円で固定され、外れた回に失うのは払った代金の全額なので、受け取りは勝った回だけ、支払いは全部の回で発生します。この2つを足し引きするだけで終わります。
電卓で追える式になるのは、国内の取引ルールが単純だからです。GMOクリック証券はペイアウト額を「1枚につき1,000円(固定)」、取引手数料を「0円」と公表しています(2026年10月13日確認)。倍率が回号ごとに変わる仕組みではなく、手数料の項も要りません。
注意したいのは、毎回「残高の何%」で買う決め方(定率)にすると、この足し算では解けなくなることです。残高に掛け算を重ねる形になるため、勝ち負けの数が同じでも残高は元に戻りません。あとで数字を出しますが、勝ちで1.1倍・負けで0.9倍になる設計なら、1勝1敗の組ごとに0.99倍になります。
この記事では、資金・購入代金・取引回数・勝ち回数を入れて残高を出す手順を、定額と定率の両方で示します。1回いくら買うかという方針の決め方は資金管理の基本、注文画面に入れる枚数の逆算は枚数の決め方にあります。ここは決めたあとの資金がどう動くかを試算する側に絞ります。
残高は、勝ち回数と取引回数だけで決まる
定額の式を分解します。購入価格500円の回号で2枚買うなら、1回あたりの代金は1,000円です。勝てばペイアウトが1枚1,000円で2枚ぶん、つまり2,000円が入ります。負けた回は代金の1,000円がそのまま損失です。みんなのオプションは「予測どおりになった場合には1Lotあたり一律1,000円のペイアウトが受け取れます」「予測どおりにならなかった場合には、チケット購入金額と同額が損失となります」と公表しています(2026年10月13日確認)。
ここから、50回の取引を終えたときの残高はこうなります。支払いは50回ぶんで必ず50,000円、受け取りは勝った回だけ2,000円ずつです。
| 勝ち回数(50回中) | 勝率 | 受け取り合計 | 支払い合計 | 残高 | 初期資金からの増減 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10回 | 20% | 20,000円 | 50,000円 | 70,000円 | −30,000円 |
| 15回 | 30% | 30,000円 | 50,000円 | 80,000円 | −20,000円 |
| 20回 | 40% | 40,000円 | 50,000円 | 90,000円 | −10,000円 |
| 25回 | 50% | 50,000円 | 50,000円 | 100,000円 | ±0円 |
| 30回 | 60% | 60,000円 | 50,000円 | 110,000円 | +10,000円 |
| 35回 | 70% | 70,000円 | 50,000円 | 120,000円 | +20,000円 |
初期資金100,000円、購入価格500円で毎回2枚(代金1,000円)とした場合の当サイトの計算値です。勝ち回数が1回増えるごとに残高は2,000円動きます。代金1,000円を払わずに済んだぶんと、ペイアウト1,000円を受け取ったぶんの合計だからです。
増減ゼロになるのは25勝、つまり勝率50%のところです。これは購入価格 ÷ ペイアウト額 = 500 ÷ 1,000 と同じ値で、損益が釣り合う勝率そのものです。出し方は損益分岐勝率の計算にあります。試算の表を作ると、この1点を境に残高が線形に伸び縮みすることが見えます。
式に手数料の項が無いのは、国内各社が取引手数料を無料と公表しているためです。GMOクリック証券は「0円」、楽天証券・GMO外貨・外為どっとコムは「無料」と記載しています(いずれも2026年10月13日確認)。ただし税金はこの式の外側にあります。利益が出た年の扱いはバイナリーオプションの税金で扱いました。
並べ替えても終点は同じ。崩れるのは資金が尽きたときだけ
試算で最初に確かめておきたいのは、勝ち負けが来る順番を変えても終点が動かないことです。定額の式に順番は入っていません。足し算と引き算だけなので、入れ替えても合計は同じです。定率も、残高に倍率を掛けていく形なので、掛ける順番を変えても積は変わりません。
図1の3通りは、どれも5勝5敗です。先に勝ちが来た並びは途中で161,051円まで増え、先に負けが来た並びは59,049円まで減りますが、10回を終えた時点ではすべて95,099円です。試算で順番を考える必要がないのは、ここが成り立っているからです。並びのパターンを総当たりしなくても、勝ち回数と取引回数の組み合わせだけで表が作れます。
ただし例外が1つあります。途中で残高が1回あたりの代金を下回ると、その先の注文が出せません。並びのうち実現しない部分が出るため、終点が変わります。資金10,000円で1回2,000円ずつ払う定額なら、先に5連敗した並びは残高0円で止まります。同じ5勝5敗でも、勝ちが先に来た並びは10,000円で終わり、負けが先に来た並びは0円で終わります。
つまりこの試算が使えるのは、連敗で資金が尽きない範囲に限られます。耐えられる連敗数は「使う資金 ÷ 1回あたりの代金」で出るので、試算を始める前にそこを確かめてください。資金から連敗の余裕と取引回数を逆算する手順は連敗確率の計算で取引回数を決める、連敗そのものの確率はバイナリーオプションの連敗確率にまとめました。
定率は、勝ち負けの数が同じでも残高が減る
毎回「残高の何%」で買う決め方に変えると、計算は掛け算になります。購入価格500円でペイアウト1,000円なら、払った額は勝ったときに2倍で返ってきます。残高の割合をr、払った額が返ってくる倍率をmと置くと、勝ちは 1 + r×(m−1) 倍、負けは 1 − r 倍です。m=2、r=0.1なら、勝ちで1.1倍、負けで0.9倍になります。
図2は、1回おきに勝ちと負けが来た20回です。定額の線は2回ごとに100,000円へ戻り、20回後もそこにいます。定率の線は、1回目に110,000円まで上がったあと、山と谷を作りながら右下へ下がり、20回後は90,438円です。
理由は1行で書けます。1.1 × 0.9 = 0.99 です。1勝1敗の組を通るたびに残高は0.99倍になり、10組で0.99の10乗、つまり0.9044倍になります。増える側が「残高の10%の分だけ増える」のに対し、減る側は「増えたあとの残高の10%が減る」ため、同じ割合でも戻りきりません。定額が引き算の世界、定率が掛け算の世界だという違いです。
これは定率が不利だという話ではありません。定率には、残高が減れば代金も自動的に下がり、1回の代金が資金を使い切らないという性質があります。見ておきたいのは、定額で作った試算表の数字を、定率の運用にそのまま当てはめてはいけないという点です。定額と定率の性格の違いは資金管理の基本で整理しました。
割合を上げると、同じ勝ち負けでも目減りが大きくなる
定率の割合rを変えて、同じ10勝10敗を通したときの残高を並べます。1勝1敗の組の倍率は (1+r)×(1−r)=1−r²(m=2のとき)なので、割合を上げるほど1組あたりの目減りが大きくなります。
割合2%なら20回後に99,601円で、減り方は0.4%です。10%で90,438円、20%で66,483円、30%で38,942円、50%では5,631円まで下がります。割合を5倍(10%→50%)にすると、目減りは9.6%から94.4%へ、10倍近くに広がります。r²で効くため、割合の増え方よりも速く悪化します。
ここで出した数字は「予想される結果」ではありません。10勝10敗という勝ち負けの数を先に固定して、割合だけを変えると残高がどう変わるかを見るための計算です。金融庁は「一定時間後のレートをピンポイントで高い確度で予測することは非常に困難です」としています(2026年10月13日確認)。勝率を自分で置いた試算は、置いた数字の説明にすぎません。勝率の数え方とばらつきは勝率の数え方で扱いました。
もう1つ、定率には実装上の制約があります。注文は整数の枚数でしか出せません。残高92,274円の2%は1,845円ですが、購入価格500円なら3枚(1,500円)か4枚(2,000円)のどちらかしか選べません。割合どおりの額にはならず、残高が小さいほどずれが大きくなります。図3と図2は、このずれを丸めずに計算した値です。
試算に入れる数字は、公式ページの公表値から取る
式の形は単純でも、入れる数字を間違えると答えは変わります。確かめる必要があるのは3つです。1単位あたりのペイアウト額、1単位あたりの購入価格の範囲、そして1注文で出せる上限です。今日の時点で公式ページで確認できた5社を並べます。
| 会社 | ペイアウト額 | 1単位あたりの購入価格 | 1注文あたりの上限 |
|---|---|---|---|
| GMOクリック証券 | 1枚につき1,000円(固定) | 1枚あたり約50円〜999円 | 1注文あたり200枚(1日あたり10,000枚) |
| 楽天証券 | 1枚につき1,000円(固定) | 1枚あたりの最大購入価格は999円(呼び値1円) | 1取引あたり200枚(1回号あたり1,000枚・全通貨ペア合計) |
| みんなのオプション | 1Lotあたり一律1,000円 | 1Lotあたり50円〜990円 | - |
| GMO外貨 | 1口あたり1,000円 | 1口あたり40円〜990円(刻み値10円) | 1通貨ペア・1回号ごとにラダー200口とレンジ100口の合計最大300口 |
| 外為どっとコム | 1Lotあたり1,000円(固定) | 約40円〜1,000円で変動します | 1注文あたり200Lot(購入時。売却には上限なし) |
いずれも2026年10月13日に各社の公式ページで確認した表記です。「-」は制度が無いという意味ではなく、公表ページで記載を見つけられなかったという意味です。IG証券を含む6社の条件の並びは国内6社の比較、注文の上限だけを横に並べたものは取引ルールの比較にあります。
購入価格は公表された範囲の中で動きます。みんなのオプションは「目標レートに達する可能性が高い場合はチケット価格は高くなり、可能性が低くなればチケット価格も安くなります」と説明しています(2026年10月13日確認)。試算に使う購入価格は、1つの値に固定できない項目です。だから「購入価格500円」のような前提は、必ず仮定として書き残します。価格が動く理由は購入価格とはで扱いました。
購入価格が変わると、同じ勝敗でも残高が変わる
購入価格を仮定として扱う理由は、残高への効き方が大きいからです。枚数を2枚に固定したまま購入価格だけを変え、50回で25勝25敗だった場合の残高を並べます。
| 購入価格(2枚) | 1回あたりの代金 | 50回の支払い合計 | 25勝の受け取り合計 | 残高 | 増減ゼロになる勝ち回数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 400円 | 800円 | 40,000円 | 50,000円 | 110,000円 | 20勝(40%) |
| 500円 | 1,000円 | 50,000円 | 50,000円 | 100,000円 | 25勝(50%) |
| 600円 | 1,200円 | 60,000円 | 50,000円 | 90,000円 | 30勝(60%) |
| 800円 | 1,600円 | 80,000円 | 50,000円 | 70,000円 | 40勝(80%) |
| 900円 | 1,800円 | 90,000円 | 50,000円 | 60,000円 | 45勝(90%) |
初期資金100,000円としたときの当サイトの計算値です。受け取りはどの行も50,000円で同じです。勝ち負けの数が25勝25敗で揃っているのに、残高は110,000円から60,000円まで、50,000円の幅で振れます。違うのは支払った購入価格だけです。
ここから言えることは2つあります。1つめは、試算の答えは勝率だけでは決まらないことです。どの価格帯の回号を買っていたかが、同じ勝率でも残高を分けます。2つめは、高い価格の回号を混ぜると、増減ゼロになる勝ち回数が上がることです。900円の行では45勝、つまり勝率90%が必要になります。
金融先物取引業協会の取扱ルールは「取引開始時点で著しく高いペイアウト倍率となる権利行使価格を設定することは禁止です」としています(2026年10月13日確認)。安い回号ばかりを選べるわけではありません。価格が違う回号を混ぜた記録から1つの勝率を作ると、試算の前提から外れます。投資額に対する率として損益を見る方法は期待値の計算方法にあります。
この試算で分からないこと
4つあります。
勝率は分かりません。この計算は勝ち回数を入力として受け取るだけで、何勝できるかは一切示しません。金融庁は「短期間に繰り返し取引した結果、多額の損失を被るおそれがあります」と注意喚起しています(2026年10月13日確認)。試算で出した残高を、達成できる見込みとして読まないでください。
途中売却した回は乗りません。判定を待たずに売ると、損益は当たり外れの2択ではなく売却価格との差で決まります。ペイアウト1,000円と代金の引き算では表せないため、別に記録します。扱いは途中売却とはにまとめました。
回数を時間に換算できません。金融先物取引業協会の取扱ルールでは「1営業日に設定できる判定時刻の最大数は12回となります」とされ、GMOクリック証券の回号は第1回から第10回です(いずれも2026年10月13日確認)。1つの通貨ペアで取れる機会は限られるため、50回の試算は1日で消化できる数ではありません。
資金が尽きる並びは表せません。先に書いたとおり、残高が1回あたりの代金を下回ると注文が出せず、試算の終点は意味を失います。取引をやめる条件を先に決めておく必要があります。決め方は損失の上限を決めるにあります。
入力と式を一緒に残す
試算の手順はこうです。
- 初期資金を決める。生活資金と分けた額にします
- 1回あたりの代金の決め方を選ぶ。定額(毎回同じ額)か定率(毎回 残高の何%)かで、式が足し算と掛け算に分かれます
- 購入価格を仮定として置く。公式ページの範囲内の値を1つ選び、仮定だと書き添えます
- 枚数を整数で出す。代金 ÷ 購入価格の小数を切り捨てます
- 取引回数と勝ち回数を入れる。定額なら 初期資金 + 勝ち回数×ペイアウト − 取引回数×代金 です
- 定率なら倍率を掛ける。勝ちは 1+r×(m−1) 倍、負けは 1−r 倍、mは ペイアウト ÷ 購入価格 です
- 資金が尽きないかを確かめる。定額では 初期資金 ÷ 代金 を超える連敗で終わります
- 発注できるかを確かめる。その枚数が1注文あたりの上限に収まるかを公式ページで見ます
残すのは答えだけにしないでください。初期資金、代金の決め方、置いた購入価格、枚数、取引回数、勝ち回数、出た残高、計算日の8つを並べて書きます。あとで実際の残高とずれたとき、勝ち負けの数が違ったのか、買った回号の価格が違ったのかを切り分けられるのはこの記録だけです。記録の付け方は取引の振り返りを記録に残すで扱いました。
まとめ
定額なら、残高は 初期資金 + 勝ち回数 × 1回のペイアウト − 取引回数 × 1回あたりの購入代金 です。勝ち負けの順番は答えに影響せず、崩れるのは途中で資金が尽きたときだけです。定率なら、勝ちで 1+r×(m−1) 倍、負けで 1−r 倍を掛け、1勝1敗の組は 1−r² 倍になります。
覚えておきたいのは2点です。同じ10勝10敗でも、定額は増減ゼロ、定率10%は9.6%の目減りになること。そして、同じ25勝25敗でも、買った回号の購入価格で残高が50,000円の幅で動くことです。試算を外すのはたいてい勝率の読み違いではなく、価格と代金の前提の置き方です。
ペイアウト額、購入価格の範囲、呼び値、1注文あたりの上限、回号の数はいずれも変更されます。計算の前に各社の公式ページで確かめてください。取引相手が登録を受けているかを自分で確かめる手順は登録業者の確認方法、1回の代金そのものの決め方は1回いくらで取引するかにあります。当サイトの数値の扱いは情報源について、取引に伴うリスクは投資リスクについてに整理しました。ほかの計算は無料ツールと資金管理・確率、条件ごとの比較は比較・口座選びから辿れます。
この記事の出典
金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。
- 金融庁「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」 金融庁 / 確認日 2026年10月13日
- 一般社団法人金融先物取引業協会「個人向け通貨関連店頭バイナリーオプション規制について 取扱ルールの概要」 自主規制団体 / 確認日 2026年10月13日
- GMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月13日
- GMOクリック証券「外為オプションとは(はじめての方へ)」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月13日
- 楽天証券「らくオプ サービス概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月13日
- みんなのオプション「購入価格とペイアウト」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月13日
- GMO外貨「オプトレ!のお取引ルール(取引概要)」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月13日
- 外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー 取引概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月13日