1営業日の判定回数は、国内6社とも10回から12回の範囲に収まります。ところが実際に画面へ並ぶ選択肢の数はそろっていません。回号は通貨ペアごとに立ち、1つの回号にはさらに複数の権利行使価格が設定されるためです。公表値を掛け合わせると、計算できた4社で1営業日350通りから528通りになりました(2026年10月30日確認)。最も多いのはGMO外貨の「オプトレ!」で、11回号×8通貨ペア×ラダー6本の528通りです。
ただし、この数は口座選びの基準にはなりません。選択肢が多いことは当たりやすさとは無関係で、GMOクリック証券は自社の取引ルールに「バイナリーオプションは一取引当たりの損失が限定的であるものの、過度の投機的な取引を行うと、累計の損失が大きくなる可能性もあります」と書いています。金融庁も「短時間で損益結果が判明するために、安易に何度も取引を行ってしまうおそれがあります」と注意を促しています。機会の数は、使い切ってよい枠ではありません。
このページでは、6社が公表している回号数・通貨ペア数・権利行使価格の本数を転記して掛け合わせ、1営業日に選べる組み合わせを数えます。あわせて、本数を公表していない2社がどう書いているか、機会の数が変わる条件、機会を広げたときに1営業日で動く購入代金も確かめます。判定時刻が何時に置かれているかは取引回数を6社比較、1回にいくらまで買えるかは取引上限を6社比較で扱っています。
取引機会は「回号 × 通貨ペア × 権利行使価格」で決まる
「1日10回取引できる」という説明は、1つの通貨ペアだけを見たときの回数です。各社の取引ルールを読むと、回号は全通貨ペアに同時に立ちます。GMOクリック証券は回号表に「各回号の開催時間は以下となっております(全通貨ペア共通)」と添えており、米ドル/円で第3回号が動いている時刻には、ユーロ/円でも豪ドル/円でも同じ第3回号が動いています。回号は時間の区切りで、通貨ペアは別の軸です。
さらにもう1つ軸があります。1つの回号には権利行使価格が複数設定され、どれを選ぶかで購入価格が変わります。楽天証券は「各回号の取引開始1分前の原資産価格を基準とし、上下均等に7本の権利行使価格を設定します。」と書き、みんなのオプションは「計8本を設定します」としています。つまり同じ回号・同じ通貨ペアの中にも7通りから8通りの選び方があるということです。言葉の意味は権利行使価格とは、どれを選ぶかの考え方は権利行使価格の選び方にまとめています。
この3つは掛け算になります。1営業日に10回号、通貨ペアが5つ、1回号あたり7本なら、350通りの中から選ぶことになります。1回号の中だけでも35通りが同時に並んでいる計算です。「1日10回」という数字から受ける印象より、画面上の選択肢はずっと多いということです。回号そのものの意味は回号とは、1日の回数の考え方は1日に何回取引できる?で説明しています。
公表値で数えると、計算できた4社は350通りから528通り
6社が公表している3つの数を、そのまま転記して並べます。確認できなかった項目は「-」にしています。
| 会社(サービス) | 1営業日の回号(公表表記) | 取扱通貨ペア | 1回号の権利行使価格の本数 | 1営業日の組み合わせ(当サイト計算) |
|---|---|---|---|---|
| GMOクリック証券(外為オプション) | 「第1回〜第10回」(回号表に「全通貨ペア共通」) | 5(米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、ユーロ/米ドル) | -(「各権利行使価格の値幅・本数は、中長期的な為替相場の変動から、回号開始直後から極端に高いペイアウト倍率とならないよう設定しております」) | -(本数が確認できないため計算できない) |
| 楽天証券(らくオプ) | 第1回〜第10回(標準時間・サマータイム期間とも10回号) | 5(米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、ユーロ/米ドル) | 「上下均等に7本の権利行使価格を設定します。」 | 350通り(10×5×7) |
| みんなのオプション(トレイダーズ証券) | 「1日10回号行います」 | 5(USD/JPY、EUR/JPY、GBP/JPY、AUD/JPY、EUR/USD) | 「計8本を設定します」 | 400通り(10×5×8) |
| GMO外貨(オプトレ!) | 「通貨ペアごとに合計11回の権利行使価格の設定と判定時間があります。」 | 8(米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、ユーロ/米ドル、豪ドル/円、NZドル/円、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドル) | ラダー「取引開始時に6本の権利行使価格(ラダー)を設定します。」/レンジは「上下2つの権利行使価格に挟まれた権利行使価格帯」で帯の数は確認できず | 528通り(11×8×6、ラダーのみ) |
| 外為どっとコム(外貨ネクストバイナリー) | 「通貨ペアごとに合計10回の権利行使価格の設定と判定時刻があります。」 | 6のうち5(TRY/JPYは「当分の間、『外貨ネクストバイナリー』の「トルコリラ/円(TRY/JPY)」回号を中止いたします」) | 「7本の権利行使価格(ラダー)を提示します」 | 350通り(10×5×7、回号中止中の1ペアを除く) |
| IG証券(バイナリーオプション) | ラダーオプション(当日)5本/ラダーオプション(2時間)12本(取引概要の時間割の行数) | 7(USD/JPY、GBP/JPY、EUR/JPY、EUR/USD、AUD/JPY、GBP/USD、AUD/USD) | -(取引概要に本数の記載を確認できず) | -(本数が確認できないため計算できない) |
本数まで確認できたのは6社中4社です。その4社で掛け算すると、GMO外貨が528通り、みんなのオプションが400通り、楽天証券と外為どっとコムが350通りでした。差が開く理由は回号数ではなく、通貨ペアの数と権利行使価格の本数です。GMO外貨は回号が1回多いだけですが、通貨ペアが8つあるため、350通りの会社より5割多い528通りになります。扱っている通貨ペアそのものの違いは通貨ペア数を6社比較で見られます。
数の大小に意味を持たせないでください。この掛け算が示すのは選択肢の広さだけで、どの選択肢も的中する確率が公表されているわけではありません。金融庁は「一定時間後のレートをピンポイントで高い確度で予測することは非常に困難」としています。選択肢が増えることは、予測が当たりやすくなることではありません。
本数を公表していない2社は、固定ではないと書いている
残る2社の書き方も読む価値があります。GMOクリック証券は本数を数字で示さず、「各権利行使価格の値幅・本数は、中長期的な為替相場の変動から、回号開始直後から極端に高いペイアウト倍率とならないよう設定しております」と説明し、「重要経済指標の発表をまたぐ回号や、インターバンク市場の流動性が低下する回号等では他の回号と異なる場合があります」と続けています。本数は回号ごとに変わる前提で運用されているということです。
同社はあわせて「外為オプション取引では、回号の最中に権利行使価格が追加されることはありません。」とも書いています。回号が始まった時点で選択肢は確定し、途中で増えることはない形です。相場が大きく動いて自分の見たい価格帯が無くなっても、その回号では選べません。選択肢の数を事前に数えておく意味は、ここにあります。
IG証券は、取引概要で権利行使価格の本数の記載を確認できませんでした。価格の提示方法が他社と違い、「0から100の間で価格が0.1刻みで表示されます」としており、円ではなくポイントで示されます。銘柄の構成も2本立てで、取引概要の時間割にはラダーオプション(2時間)が12行、ラダーオプション(当日)が5行並んでいます。当日銘柄は2時間銘柄と並行して動くため、同じ時刻に選べる銘柄がさらに増えます。
機会の数は固定されていない
ここまでの数は、通常の営業日の公表値です。各社は同じページで、回号や通貨ペアが変わる場合も明記しています。
| 機会の数が変わる条件 | 公表されている表記 | 該当する会社 |
|---|---|---|
| 経済指標や年末年始で回号が調整される | 「特定の営業日の回号を調整することや、クリスマスや年末年始等、インターバンク市場の流動性の低下が予想される場合に回号の開催回数を調整することがあります。」 | GMOクリック証券 |
| 通貨ペアの回号が中止されている | 「当分の間、『外貨ネクストバイナリー』の「トルコリラ/円(TRY/JPY)」回号を中止いたします」 | 外為どっとコム |
| 権利行使価格の本数が回号ごとに変わる | 「重要経済指標の発表をまたぐ回号や、インターバンク市場の流動性が低下する回号等では他の回号と異なる場合があります」 | GMOクリック証券 |
| サマータイムで時間割が移る | 標準時間とサマータイム期間の回号表を別に掲載(どちらも10回号) | 楽天証券 |
| 同じ回号に別の商品が並ぶ | 「1通貨ペア、1回号ごとにラダーオプション200口、レンジオプション100口の合計最大300口まで取引可能。」 | GMO外貨 |
| 判定の間隔そのものに下限がある | 「原則として、判定時刻の間隔は2時間以上とします。」「お客様との取引開始から判定時刻までの期間(時間)は、当面の間、2時間以上とします。」 | 金融先物取引業協会の自主規制(6社共通) |
いちばん影響が大きいのは回号そのものの中止です。外為どっとコムは6通貨ペアを掲載していますが、トルコリラ/円は回号を中止しているため、現在選べるのは5ペアです。掲載している通貨ペアの数と、今日買える通貨ペアの数は別ということです。年末年始に回数が減ることは年末年始の取引時間でも扱っています。
反対に、機会が増える方向の条件もあります。GMO外貨はラダーオプションとレンジオプションを同じ回号に用意しており、口数の枠も「ラダーオプション200口、レンジオプション100口の合計最大300口」と別建てです。レンジは「取引開始時に6本の権利行使価格(ラダー)から、上下2つの権利行使価格に挟まれた権利行使価格帯(レンジ)を設定します。」と書かれていますが、参照した取引概要では帯の数を確認できなかったため、図2の528通りには含めていません。商品の違いはレンジオプションとはで説明しています。
機会が増えると、1営業日に動く購入代金も増える
機会の数を知っておく実用的な理由は、資金の減り方が機会の数に比例するからです。1回あたりの損失は購入代金が上限ですが、買う回号と通貨ペアを増やせば、その上限が並ぶ数だけ増えます。
同じ判定時刻に5つの通貨ペアを買えば、その時刻に5件の結果が同時に確定します。1件あたりの損失は購入代金どまりでも、5件そろって外れる日はあります。通貨ペアを分けることは、値動きの異なる対象へ分けることではあっても、損失が小さくなることを保証する仕組みではありません。1日に許容する損失額を先に決める方法は1日の損失上限の決め方にまとめています。
各社もこの点を自分のページで書いています。GMOクリック証券は損失のモニタリングについて「その損失額が過度にならないよう、お客様の取引を規制させていただく場合があります」とし、続けて「過度の投機的な取引を行うと、累計の損失が大きくなる可能性もあります。お客様自身の資産などを踏まえ、節度ある取引を心がけていただくようお願いいたします。」と書いています。楽天証券は「口座開設時にお客様から申告いただいたバイナリーオプション取引に係る損失許容額および金融資産の額をもとに定期的にお客様の損失状況をモニタリング」すると公表しています。機会を使い切る取引は、業者側でも想定されていません。
機会の多さが枠の広さと一致しないことも確かめておきます。GMO外貨は投資可能金額に応じて購入できる口数を変えており、1万円以上10万円未満なら合計20口、300万円以上で合計300口と公表しています。8通貨ペア×11回号という機会があっても、申告額が小さければ買える口数は20口止まりです。外為どっとコムは「1日の購入可能金額 1000万円まで」を超えると「次回の回号より同営業日終了(翌午前4時20分)までの間、新規取引を停止させていただきます」としています。機会より先に枠が尽きる形で、条件の全体はGMO外貨の業者ページで確認できます。
機会の数で口座を選ばないための順番
ここまでの公表値を踏まえると、確認する順番は3つに分かれます。最初に見るのは機会の数ではなく、自分が画面を見られる時間帯です。判定の間隔は協会の自主規制で「原則として、判定時刻の間隔は2時間以上とします。」と決まっているため、どの会社も2時間おきに判定が来ます。時間帯ごとに数え直した取引回数を6社比較では、12時以降の判定回数は5社とも横並びでした。見られる時間に判定が無ければ、1営業日528通りの機会があっても使えません。
次に、自分が実際に扱う通貨ペアの数を数えます。米ドル/円だけを見るなら、通貨ペアが8つあるGMO外貨を選んでも、選択肢は11回号×ラダー6本の66通りにとどまります。機会の数は、自分が追える対象の数で頭打ちになります。複数の通貨ペアを同時に見続けられるかは、画面の数と集中できる時間の問題で、公表値とは別の制約です。
最後に、枠と資金を見ます。1注文200枚、1回号1,000枚、1日10,000枚、1日1,000万円といった上限は各社が公表していますが、多くの人にとって先に尽きるのは自分の資金です。1日に許容する損失額を決め、それを購入価格で割れば、その日に買える枚数が出ます。この枚数が、機会の数より小さい上限として働きます。
6社はいずれも金融庁の登録を受けた国内業者です。金融庁は「日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止」としており、「無登録業者と取引した場合は、トラブルが生じても無登録業者への追及は極めて困難です」と注意しています。「取引機会が無制限」とうたうサービスを見かけたら、まず登録の有無を確かめてください。確認の手順と取引前に見ておくことは投資リスクについてにまとめています。条件を組み合わせて口座を選ぶときは比較・口座選びから辿れます。回号数・通貨ペア・権利行使価格の本数はいずれも2026年10月30日時点の公表値なので、申込みの前に各社の公式ページで確かめてください。
この記事の出典
金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。
- 金融先物取引業協会「取扱ルールの概要」 自主規制団体 / 確認日 2026年10月30日
- 金融庁「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」 金融庁 / 確認日 2026年10月30日
- GMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- GMOクリック証券「外為オプションとは」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- 楽天証券「バイナリーオプション サービス概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- みんなのオプション「サービス概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- みんなのオプション「購入価格とペイアウト」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- GMO外貨「オプトレ!のお取引ルール」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- 外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー 取引概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- IG証券「バイナリーオプション取引概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日
- 楽天証券「バイナリーオプション(らくオプ)」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年10月30日