取引したい通貨ペアが決まっているなら、国内6社の比較はその時点でほとんど終わっています。米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、ユーロ/米ドルの5組は6社すべてが取り扱いを公表しているため、通貨ペアを基準にしても候補が1社も減らないからです。候補が減るのはこの5組の外側だけで、ポンド/米ドルと豪ドル/米ドルはGMO外貨とIG証券の2社、NZドル/円はGMO外貨の1社になります(2026年9月11日確認)。
その先を「扱う組数が多い会社ほど良い」と読み替えないでください。組数が増えて変わるのは選べる範囲であって、当たりやすさではありません。むしろ通貨ペアの比較で読み落としやすいのは、回号が通貨ペアごとに設定されると書いている会社が2社あること、原資産が通貨ペアだけではない会社が1社あること、同じ通貨ペアが会社ごとに違う書き方で載っていることの3点です。
この記事は、通貨ペアの側から6社を逆引きする形で並べます。会社ごとに全項目を横並びにした比較はバイナリーオプション業者比較に、初めての口座で見る3項目は初心者が比較する3項目にあります。最初の1組をどう決めるかは初心者の通貨ペアの選び方、通貨ペアごとに何を材料として見るかは通貨ペア分析に分けました。ここでは順位も点数も付けません(比較・評価の基準)。
通貨ペアから会社を逆引きする
会社を縦に並べた表は、口座を1つも持っていない人には読みやすい形です。けれども「豪ドル/米ドルをやりたい」と決まっている人にとっては、6社ぶんの通貨ペア一覧を目で突き合わせる作業になります。そこで、行と列を入れ替えました。
| 通貨ペア | GMOクリック証券 | 楽天証券 | みんなのオプション | GMO外貨 | 外為どっとコム | IG証券 | 扱う社数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 米ドル/円(USD/JPY) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 6 |
| ユーロ/円(EUR/JPY) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 6 |
| ポンド/円(GBP/JPY) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 6 |
| 豪ドル/円(AUD/JPY) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 6 |
| ユーロ/米ドル(EUR/USD) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 6 |
| ポンド/米ドル(GBP/USD) | - | - | - | ○ | - | ○ | 2 |
| 豪ドル/米ドル(AUD/USD) | - | - | - | ○ | - | ○ | 2 |
| NZドル/円(NZD/JPY) | - | - | - | ○ | - | - | 1 |
| トルコリラ/円(TRY/JPY) | - | - | - | - | 回号中止 | - | 0 |
上の5行が全部「6」で埋まっているという事実が、この表の要点です。国内で個人向け店頭バイナリーオプションを扱う6社は、主要な5組についてはそろって同じものを提供しているため、この範囲の通貨ペアを目当てにしている限り、通貨ペアは会社選びの基準になりません。その場合は取引時間、購入価格の下限、1回号の長さといった別の項目へ進むことになります。
下の4行に入ると景色が変わります。ポンド/米ドルと豪ドル/米ドルという、円を含まない組を扱っているのはGMO外貨とIG証券です。NZドル/円はGMO外貨だけが載せています。円が絡まない組は、日本時間の朝や夕方に動く材料が円絡みの組と違うため、同じ時間帯に画面を開いていても見え方が変わります。時間帯ごとの考え方は取引時間帯の特徴にまとめました。
いちばん下の行は、表の読み方そのものの注意点です。外為どっとコムの取引ルール概要にはトルコリラ/円が載っていますが、同じページに「2021年11月24日(水)第6回号より当分の間、『外貨ネクストバイナリー』の『トルコリラ/円(TRY/JPY)』回号を中止」という注記が付いています。一覧に名前があることと、いま取引できることは別です。数だけを数えると6組に見えるため、注記まで読む必要のある行として残しました。同社の取引ルールは外為どっとコムの取引ルールにも整理しています。
「通貨ペアごとに何回」と書いている会社が2社ある
通貨ペアの数が実際に効いてくるのは、選択の幅ではなく回号の数です。回号とは、判定時刻が決まった1回ぶんの取引単位のことで、1日のうちに何回巡ってくるかが取引の機会そのものになります。ここで公式ページの書き方に差がありました。
GMO外貨は「通貨ペアごとに合計11回の権利行使価格の設定と判定時間があります」と書いています。外為どっとコムも「通貨ペアごとに合計10回の権利行使価格の設定と判定時刻があります」という書き方です。この2社では、通貨ペアの数と回号の数が掛け算の関係にあることが公表されています。
残る4社については、参照したページで回号が通貨ペアごとに設定されるかどうかを確認できませんでした。GMOクリック証券は「第1回〜第10回」、楽天証券も「1回号の時間は2時間です」として第1回から第10回まで、みんなのオプションは「上記取引時間において1日10回号行います」と書いています。IG証券はラダー(当日)とラダー(2時間)で終了時刻の並びが分かれる形です。「通貨ペアごと」という条件が読み取れないものを、当サイトの側で掛け算しません。数え方の前提が違う数字を同じ表に並べると、比較そのものが成り立たなくなるためです。
掛け算した2社の数字も、そのまま有利さとして読めるものではありません。延べ回号が多いということは、参加できる機会が多いということであり、同時に1日のうちに損失が確定する場面も同じ回数だけ増えるということです。購入代金が損失の上限になる仕組みそのものは投資リスクについてに書いています。
原資産が通貨ペアだけとは限らない会社が1社ある
ここまでは通貨ペアを数える話でした。ところが6社のうち1社は、そもそも数える対象が通貨ペアだけではありません。IG証券は取引概要に、7通貨ペアの記載とあわせて「株価指数、商品(コモディティ)を原資産とするバイナリーオプション」の記載があります。
この違いは、通貨ペアの数を数えるだけの比較からは見えません。同社は「当社のバイナリーオプション取引は証拠金取引です」とも明記しており、購入代金が損失の上限になるという他の5社の前提が、そのままでは当てはまらない設計です。通貨ペアの組数だけを見て同じ物差しに乗せると、商品の性質の違いを見落とします。証拠金取引としての読み方はIG証券が証拠金取引である意味にまとめました。
一方でGMO外貨は、通貨ペアの数が最も多い8組に加えて、ラダーだけでなくレンジオプションも扱うと公表しています。レンジ側も「全11回号のお取引となっており」と書かれています。つまりこの会社では、通貨ペアの数と、選べる取引の型の両方が他社より広い形です。型の違いそのものはラダーとレンジの違い、会社としての条件はGMO外貨にあります。
見たい通貨ペアから、候補はここまで絞れる
ここまでの公表値を、読者の側の順番に並べ替えます。会社を先に選んでから扱える通貨ペアを確認するのではなく、通貨ペアを先に決めて候補を絞る形です。
いちばん左の分岐に入った人、つまり主要5組のどれかを見ている人は、通貨ペアではこれ以上絞れません。この場合は取引時間、購入価格の下限、1回号の長さ、注文の締切といった項目で比べることになります。その材料は初心者が比較する3項目とバイナリーオプション業者比較にそろえてあります。
右側の分岐に入った場合は、候補が1社か2社まで減ります。ここで気をつけたいのは、候補が少ないことと条件が良いことは別だという点です。その通貨ペアを扱う会社が1社しかないなら、他社と条件を比べる余地そのものがありません。比べる相手がいない状態で申し込むことになるので、その会社の取引ルールを自分で読み切れるかを先に考えるほうが現実的です。
同じ通貨ペアが、会社ごとに違う名前で書かれている
最後に、各社の表を突き合わせるときに引っかかる点を挙げます。6社の公式ページは、同じ通貨ペアを同じ書き方では載せていません。
| 会社 | 公式ページでの書き方(そのまま) | 型 |
|---|---|---|
| GMOクリック証券 | 米ドル/円 (USD/JPY) | 日本語名+括弧内にコード |
| 楽天証券 | 米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、ユーロ/米ドル | 日本語名のみ |
| みんなのオプション | 通貨ペア(USD/JPY、EUR/JPY、GBP/JPY、AUD/JPY、EUR/USD) | コードのみ |
| GMO外貨 | GBP/JPY(英ポンド/円)/NZD/JPY(ニュージーランドドル/円) | コード+括弧内に日本語名 |
| 外為どっとコム | USD/JPY=米ドル/円、GBP/JPY=ポンド/円 | コード=日本語名 |
| IG証券 | USD/JPY、GBP/JPY、EUR/JPY、EUR/USD、AUD/JPY、GBP/USD、AUD/USD | コードのみ |
表記が違っても、指している組は同じです。GBP/JPYを「ポンド/円」と書く会社と「英ポンド/円」と書く会社があり、NZD/JPYを「ニュージーランドドル/円」と書く会社もありますが、別の商品ではありません。それでも書き方をそろえて記録しておくと、2社の表を並べたときの見落としが減ります。
実際の注文画面でも、参照しているチャートと注文画面の通貨ペアの表記が違うことがあります。日本語名で覚えている人がコード表記の画面を使うと、EUR/JPYとEUR/USDのように末尾だけが違う組を取り違える余地が生まれます。通貨ペアという単位そのものの意味は通貨ペアとはに書きました。
数の多さを理由にする前に
通貨ペアの組数は、公式ページに載っていて数えられるため、比較の見出しにしやすい項目です。ただし数えられることと、選ぶ理由になることは別です。
まず、最初の口座で5組を全部使う人は多くありません。初心者の通貨ペアの選び方に書いたとおり、同じ時間帯に複数の組を並行して見るのは、記録も検証も難しくなります。使う組が1つなら、5組の会社と8組の会社の差は実質的にありません。
次に、組数が増えても1回ごとの判断の難しさは変わりません。増えるのは判断する対象の数です。通貨ペアごとに材料が出る時刻も国も違うため、扱う組を増やすほど確認しなければならない公表予定が増えます。この点は通貨ペア分析で、政策金利を決める機関と指標の公表時刻の側から整理しました。
そして、組数の多い会社を選ぶ理由が成り立つのは、いま扱えない組を実際に取引したいときだけです。ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルを取引する計画があるなら候補は2社に決まりますし、NZドル/円なら1社です。その予定が無いなら、組数は比較の材料になりません。
この記事で確認できなかったこと
参照したページの範囲では、次の項目を確認できませんでした。推測では埋めません。
- GMOクリック証券、楽天証券、みんなのオプション、IG証券の4社について、回号が通貨ペアごとに設定されるかどうか(参照した取引ルール・取引概要に「通貨ペアごと」という記載を確認できませんでした。設定されないという意味ではありません)
- GMO外貨のレンジオプションで扱える通貨ペアの一覧(レンジのページには全11回号という記載がありますが、通貨ペアの一覧は確認できませんでした)
- IG証券が扱う株価指数・商品の銘柄と、その取引条件(銘柄ごとの詳細情報ページを見る形になっており、当サイトはまだ取得・照合していません)
- 通貨ペアごとの取引高や利用者数(金融先物取引業協会は月次データファイルを公開していますが、当サイトは通貨ペア別の内訳をまだ取得・照合していません)
- 外為どっとコムのトルコリラ/円が再開される条件や時期(注記は「当分の間」とだけ書かれています)
取扱通貨ペアと回号の設定は変更されます。次回の確認は2026年12月10日を予定していますが、口座を開く前には、その時点の公表値を各社のページで見直してください。当サイトが使っている情報源の考え方は情報源についてに書いています。
この記事の出典
金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。
- GMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年9月11日
- 楽天証券「らくオプ(バイナリーオプション)取引ルール概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年9月11日
- みんなのオプション「取引概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年9月11日
- GMO外貨「オプトレ! 取引概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年9月11日
- GMO外貨「レンジオプション」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年9月11日
- 外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー 取引ルール概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年9月11日
- IG証券「バイナリーオプション取引概要」 取扱業者の公式ページ / 確認日 2026年9月11日
- 金融先物取引業協会「個人向け店頭バイナリーオプション取引月次速報」 自主規制団体 / 確認日 2026年9月11日