通貨ペア分析

バイナリーオプションの通貨ペア分析|1組に通貨は2つ、材料が出る時刻も2つ

国内で選べる通貨ペアは5組前後です。1組に通貨は2つあり、政策金利を決める機関も、材料が公表される時刻も2つに分かれます。どの組なら日本銀行が日次でまとめているか、公表時刻が満期のどこに来るかを公的機関と各社の記載で確認します。

通貨ペアを分析するというとき、実際に調べる対象は1つではありません。米ドル/円なら米国と日本、ユーロ/円ならユーロ圏と日本というように、1つの組に通貨が2つあり、それぞれに政策金利を決める機関があります。どちらの側で予定が入っているかによって、材料が出る時刻も日本時間のまったく違う場所に来ます。

そして、材料の調べやすさは組によって同じではありません。日本銀行が毎営業日まとめている東京市場のレートは、国内で選べる通貨ペアのうち3組ぶんだけです。残りの組は、注文する会社の取引ツールで確かめることになります。

この記事では、選べる組の一覧を各社の公表値で確認したうえで、通貨と中央銀行の対応、公表時刻が満期のどこに来るか、後から水準を確かめられる範囲、そして値動きが荒くなった通貨が実際にどう扱われたかを順に見ていきます。通貨ペアの表記そのものの読み方は通貨ペアとは、最初の1組を決める手順は初心者の通貨ペアの選び方で扱っています。

1つの組に、見る対象は2つある

米ドル/円・ユーロ/円・ポンド/円・豪ドル/円・ユーロ/米ドルの5組について、含まれる通貨と、その通貨の政策金利を決める日本銀行・FRB・ECB・イングランド銀行・オーストラリア準備銀行を対応させたマトリクス図
図1:どの組にも通貨は2つ入り、円は5組のうち4組に含まれる取扱通貨ペアはGMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」の記載(2026年9月4日確認)。機関名は各中央銀行の公表ページの表記

国内で広く扱われている5組を並べると、円は米ドル/円・ユーロ/円・ポンド/円・豪ドル/円の4組に入っています。ユーロ/米ドルだけが円を含みません。円が入る組では、日本側の予定と相手国側の予定の両方が値動きに関わります。

国際決済銀行(BIS)が公表した2025年4月の調査によれば、店頭の外国為替取引は「reached $9.6 trillion per day in April 2025」とされ、米ドルは「being on one side of 89.2% of all trades」、円のシェアは「held steady at 16.8%」と記載されています(2026年9月4日確認)。この89.2%と16.8%は、それぞれその通貨が取引の片側に入っていた割合です。1つの取引に通貨は2つ関わるため、単純に足し合わせることはできません。

ここから言えるのは、市場全体では米ドルが絡む取引が多い、ということだけです。取引が多い組のほうが当たりやすい、という関係は示されていません。この数字は分析対象を絞る手がかりであって、勝敗の予測材料ではありません。

選べる組は、会社をまたいでほぼ同じ

会社(サービス名)公表されている取扱通貨ペア組数
GMOクリック証券(外為オプション)米ドル/円(USD/JPY)、ユーロ/円(EUR/JPY)、ポンド/円(GBP/JPY)、豪ドル/円(AUD/JPY)、ユーロ/米ドル(EUR/USD)5
楽天証券(らくオプ)米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円、ユーロ/米ドル5
みんなのオプション(トレイダーズ証券)USD/JPY、EUR/JPY、GBP/JPY、AUD/JPY、EUR/USD5
外為どっとコム(外貨ネクストバイナリー)USD/JPY、EUR/JPY、EUR/USD、AUD/JPY、GBP/JPY、TRY/JPY(回号を中止中)6(うち1組は回号中止)
GMO外貨(オプトレ!)USD/JPY、EUR/JPY、GBP/JPY、EUR/USD、AUD/JPY、NZD/JPY、GBP/USD、AUD/USD8
IG証券(バイナリーオプション)USD/JPY、GBP/JPY、EUR/JPY、EUR/USD、AUD/JPY、GBP/USD、AUD/USD7(為替のぶん)
図2:5組は6社すべてに共通し、増えるのは米ドル絡みとNZドル/円出典 各社の取引ルール・取引概要ページ(いずれも2026年9月4日確認)。日本語表記かアルファベット表記かは各社ページの表記のまま。IG証券は為替以外に株価指数・商品も対象と記載

6社すべてが扱っているのは、米ドル/円・ユーロ/円・ポンド/円・豪ドル/円・ユーロ/米ドルの5組です。これを超えて選べるのはGMO外貨とIG証券で、増えるぶんはNZドル/円のほかはポンド/米ドル・豪ドル/米ドルという米ドル絡みの組です。

つまり、会社を変えても分析の対象はほとんど広がりません。「取扱通貨ペアが多い会社を選べば分析の幅が広がる」という考え方は、この一覧ではあまり成り立ちません。会社ごとの取扱条件をそろえた形で見たい場合は国内登録業者の比較にまとめています。

材料の公表時刻は、日本時間の違う場所に来る

日本時間の8時から翌5時までを横軸に取り、外為オプションの満期時刻10本を目盛りとして、米雇用統計と欧州中央銀行の記者会見を日本時間へ換算した位置と、公表時刻の定めがない日本銀行の決定会合を並べた時系列図
図3:公表時刻が決まっている2つの材料は、夜の回号に来る公表時刻は米労働統計局「Employment Situation 公表予定」、欧州中央銀行「Monetary policy statement」、日本銀行「金融政策決定会合の日程」、満期時刻はGMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」(いずれも2026年9月4日確認)。日本時間への換算は図中の前提による

米労働統計局は、雇用統計(Employment Situation)の公表予定を月ごとに掲載しており、時刻はいずれも「08:30 AM」です(2026年9月4日確認)。米国東部時間との差を14時間、現地が夏時間の期間を13時間として換算すると、日本時間では22時30分または21時30分になります。

欧州中央銀行は、金融政策の決定について「The Governing Council takes its monetary policy decision every six weeks.」と記載し、記者会見は「can be watched live at 14:45 CET」としています(2026年9月4日確認)。中央ヨーロッパ時間との差を8時間、夏時間の期間を7時間として換算すると、日本時間では22時45分または21時45分です。

一方、日本銀行の金融政策決定会合には、こうした固定の公表時刻がありません。日程のページには公表資料ごとの時間の目安が並んでいますが、会合の結果そのものは会合が終わったあとに公表されます(2026年9月4日確認)。日本側の材料は、時刻を先に決めて待つことができません

この違いは、判定時刻の設定と直接つながります。GMOクリック証券の外為オプションは満期が毎時00分で、8時00分から翌5時00分までのあいだに10の回号が置かれ、回号は2時間おきに重なって開催されます(2026年9月4日確認)。日本時間22時30分の公表は、満期23時00分の回号では残り30分の時点にあたり、満期が翌1時00分の回号では開始から30分の時点になります。同じ公表が、進み具合の違う複数の回号に同時に入るということです。

注文の受付は満期の2分前に止まります。したがって、22時30分の公表を見てから満期23時00分の回号へ注文できるのは22時58分までです。判定時刻の考え方は判定時刻とはで扱っています。

公表を待って注文するかどうかは、この記事では判断しません。発表前後の値動きを予測できる根拠を、公表資料から示せないためです。ここで確認できるのは、どの回号が予定と重なるかまでです。

政策金利を決める機関と、日程が出ている場所

通貨政策金利を決める機関そのページで確認できた記載
日本銀行(金融政策決定会合)2026年は1月・3月・4月・6月・7月・9月・10月・12月の8回ぶんの日程を掲載。結果の公表時刻の定めはなし
米ドル連邦準備制度理事会(FOMC)「The FOMC holds eight regularly scheduled meetings during the year and other meetings as needed.」
ユーロ欧州中央銀行(政策理事会)「The Governing Council takes its monetary policy decision every six weeks.」記者会見は14:45 CET
ポンドイングランド銀行(MPC)2026年の公表日として2月5日・3月19日・4月30日・6月18日・7月30日・9月17日・11月5日・12月17日の8日を掲載
豪ドルオーストラリア準備銀行(金融政策理事会)議事要旨は各会合の2週間後に公表と記載。年間の開催回数と公表時刻の記載は、このページでは確認できませんでした
図4:日程はすべて公表されているが、書かれている粒度はそろっていない出典 日本銀行「金融政策決定会合の日程」/米連邦準備制度理事会「FOMC Meeting calendars and information」/欧州中央銀行「Monetary policy statement」/イングランド銀行「Upcoming MPC dates」/オーストラリア準備銀行「Schedules and events」(いずれも2026年9月4日確認)

5つの通貨のいずれについても、会合の日程は各機関が自分のページで公表しています。取引の前に確認できる材料としては、この日程がいちばん確実です。まとめサイトの経済指標カレンダーではなく、発表する機関のページを直接見るほうが、時刻の扱いまで含めて正確になります。

一方で、書かれている粒度はそろっていません。回数まで文章で明記しているところもあれば、日付の一覧だけのところもあります。豪ドルについては、年間の開催回数と決定の公表時刻を、参照したページで確認できませんでした。確認できなかったことを、他の通貨の回数から推測して埋めないでください。豪ドル/円を扱うなら、その都度オーストラリア準備銀行のページで日付を見るのが確実です。

後から水準を確かめられるのは、3組だけ

GMO外貨で選べる8つの通貨ペアを、日本銀行の外国為替市況(日次)で確認できる米ドル/円・ユーロ/円・ユーロ/米ドルの3組と、公表に含まれない5組に分けて並べた比較図
図5:日本銀行が毎営業日まとめているのは、8組のうち3組取扱通貨ペアはGMO外貨「オプトレ!取引概要」、公表対象は日本銀行「外国為替市況(日次)」の掲載内容(いずれも2026年9月4日確認)

日本銀行は、東京市場の外国為替市況を毎営業日の営業時間終了後にホームページで公表しています。掲載されているのはドル/円・ユーロ/ドル・ユーロ/円で、ドル/円とユーロ/ドルについては9時00分時点と17時00分時点のスポット・レートが示されています。直近70営業日ぶんが一覧で残ります(2026年9月4日確認)。

国内のバイナリーオプションで選べる組を、この公表と重ねてみます。GMO外貨で選べる8組のうち、日本銀行の日次公表に含まれるのは米ドル/円・ユーロ/円・ユーロ/米ドルの3組です。ポンド/円、豪ドル/円、NZドル/円、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルは含まれません。

これは「その組が危険だ」という意味ではありません。後から独立した資料で水準を確かめ直せるかどうかが違う、という意味です。取引の記録を残して見直すとき、参照先が注文した会社の画面しかない組と、公的機関の公表と突き合わせられる組では、確認の手間が変わります。会社ごとにレートの作り方が違うことは会社ごとにチャートの価格が違う理由で扱いました。記録の残し方はチャートの振り返りと記録にまとめています。

値動きが荒くなった通貨は、回号ごと止まることがある

GMO外貨のオプトレ!を案内する公式ページの画面
国内で最も多い8組を扱うGMO外貨「オプトレ!」の公式ページの引用キャプチャ(ロゴ・商標の権利は運営会社に帰属)。出典 GMO外貨「オプトレ!」/キャプチャ取得日 2026年8月21日、取扱通貨ペアの記載の確認日 2026年9月4日

「値動きが荒い通貨」の扱いは、抽象的な注意ではなく、実際の取扱状況として現れます。外為どっとコムは、外貨ネクストバイナリーのトルコリラ/円について、次のように記載しています(2026年9月4日確認)。

2021年11月23日のトルコ大統領による同国中銀の利下げ擁護発言を受けた同日午後の相場急変など市場情勢の変化に伴い、トルコリラを含む通貨ペアの実勢インターバンクレートが急変動やスプレッド拡大の多発など著しく不安定な状況となっております。当面こうした状況が続くと予想されるため、2021年11月24日(水)第6回号より当分の間、『外貨ネクストバイナリー』の「トルコリラ/円(TRY/JPY)」回号を中止いたします。

対象通貨ペアの一覧には今も残っていますが、回号は開催されていません。会社が回号を止める判断をした通貨が、実際に存在するということです。他の5社の一覧に、トルコリラ/円はありません。

言い換えると、国内のバイナリーオプションで選べる組は、この段階ですでに絞り込まれた後のものです。「値動きが荒い通貨を選んで大きく取る」という選択肢が、そもそも用意されていません。取扱の一覧に載っている組の中で、どれを見るかを決めることになります。

通貨ペアを変えても、割り算の式は変わらない

分析の対象を選ぶ話と、損益が決まる仕組みの話は別です。どの組を選んでも、購入価格とペイアウト額の関係は変わりません。

GMOクリック証券の外為オプションは、ペイアウトが1枚につき1,000円の固定です(2026年9月4日確認)。同じ条件を繰り返すと仮定したとき、損益が釣り合う勝率は「購入価格 ÷ ペイアウト額」で求まります。購入価格が400円なら40%、800円なら80%です。これは仮定を置いた計算であって、見込める利益ではありません。実際の購入価格は注文のたびに変わるため、分岐点も注文ごとに変わります。詳しくはペイアウト率で扱っています。

つまり、通貨ペアを変えても分母と分子の意味は変わりません。変わるのは、判断の材料をどこから集められるかと、その材料がいつ出るかです。1回あたりの損失は購入価格までですが、回数を重ねれば資金は減ります(投資リスクについて)。

金融庁は、バイナリーオプション取引について「短期間に繰り返し取引した結果、多額の損失を被るおそれ」があるとし、「『絶対勝てる』『確実に儲かる』『すぐ簡単に稼げる』などの勧誘をうのみにしないでください」と呼びかけています。あわせて「取引を始める前には、取引の相手が登録を受けている業者であることを必ず確認してください」としています(2026年9月4日確認)。「この通貨ペアなら勝てる」という売り込みは、この注意喚起が想定している場面と重なります。

よくある質問

初心者はどの通貨ペアを見ればいいですか

「この組なら当たる」という答えを出せる公表データはありません。判断できるのは、材料を自分で確認できるかどうかです。日本銀行が日次で公表しているのは米ドル/円・ユーロ/円・ユーロ/米ドルの3組で、後から水準を突き合わせやすいのはこの範囲になります。選ぶ手順そのものは初心者の通貨ペアの選び方で扱っています。

クロス円は米ドル/円より難しいですか

難易度を比べた公表データは確認できませんでした。事実として言えるのは、ポンド/円・豪ドル/円は円と相手通貨の両方に予定があり、そのうえで日本銀行の日次公表に含まれない、ということです。確認する先が増えるぶん、記録と見直しの手間は増えます。

経済指標の時刻は、どこで見ればいいですか

発表する機関のページです。米国の雇用統計なら米労働統計局の公表予定、政策金利なら各中央銀行の日程ページに、日付と時刻が載っています。日本時間へ換算するときは、現地が夏時間かどうかで1時間ずれる点に注意してください。

通貨ペアを複数同時に見てもいいですか

会社によっては複数の組で回号が並行して開催されますが、見る対象を増やすほど、判定時刻と締切の管理も増えます。時間軸をどう選ぶかはチャートの時間足で整理しています。

確認の順番を決めておく

通貨ペアを分析の対象として見るとき、次の順で確認しておくと、材料の抜けに気づきやすくなります。

  1. 注文する会社の取扱一覧で、選べる組を確認する。回号が止まっている組がないかも見る
  2. その組に含まれる2つの通貨について、政策金利を決める機関の日程ページを開く
  3. 時刻が公表されている材料は、日本時間へ換算し、どの回号と重なるかを確かめる
  4. 時刻が決まっていない材料(日本銀行の決定会合など)は、待ち構えられない前提で扱う
  5. 後から水準を確かめられる組かどうかを把握しておく。含まれない組は、会社の画面での記録を厚くする

この5つは、すべて取引の前に確認できます。値動きの予測はここには入っていません。予測できる部分と、事前に確定している部分を分けておくことが、通貨ペアを見るときの出発点になります。

この記事の出典

金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。