トレンド分析

バイナリーオプションの順張りと逆張り|どちらも購入で、違いは選ぶ権利行使価格と購入価格

順張りと逆張りは相場の方向性に沿うか逆らうかの区別です。国内バイナリーオプションでは新規の売付が6社中5社で取り扱いなく、注文タイプも成行のみ。逆張りもプットの購入になります。6社の公表記載で確かめました。

「上昇トレンドだから順張りで上を買う」「上がりすぎているから逆張りで下を買う」。どちらの言い方も見かけますが、順張り・逆張りという言葉は、もともとバイナリーオプションのための用語ではありません。

外為どっとコムの用語集は「相場の方向性に沿って取引することを順張り、相場の方向性に逆らって取引することを逆張りといいます」と説明しています。例として、ドル高の傾向にある場面で「この先もドル高が続くだろう」と予測してドルを買うのが順張り、「そろそろドル高も反転するだろう」と予測してドルを売るのが逆張りだと書かれています(2026年10月21日確認)。買うか売るかという、方向の選択として定義されています。

国内のバイナリーオプションでは、この定義をそのまま操作へ移せません。6社の公表記載を読むと、新規の注文を売りから始められるのはIG証券だけで、ほかの5社は購入のみです。注文タイプも成行だけです。逆張りをしたくても売るボタンは無く、プットを買うという形になります。

先に結論を書きます。順張りと逆張りのどちらが有利かを示す記載は、参照した公表資料の中に見つけられませんでした。そのかわりに確かめられるのは、この区別がバイナリーオプションでは3つの選択へ分かれるということです。コールかプットか、並んでいる権利行使価格のどれを選ぶか、そしてその価格を買うためにいくら払うか。この記事では、6社の公表記載を使ってその3つを順に見ます。勝率や手法は扱いません。参照した資料に、その根拠となる記載が無いためです。

「売る」から始められるのは、6社のうち1社だけ

まず、言葉と操作の対応を揃えます。

左に順張り・逆張りという用語の説明(相場の方向性に沿って買う、逆らって売る)、右に国内バイナリーオプションでの操作(コールの購入、プットの購入、成行のみ、新規の売付は5社で取り扱いなし)を並べた左右比較図
図1:用語は「買う/売る」で説明され、国内の取引画面では「コールを買う/プットを買う」になる用語の説明と例は外為どっとコム「順張り・逆張り」(用語集)、注文方法と売建の取り扱いは国内6社の取引ルール・取引概要、ペイアウト1,000円はGMOクリック証券・楽天証券・みんなのオプション・外為どっとコムの公表値(いずれも2026年10月21日確認)

言葉のほうは、方向と注文の種類が結びついています。上がると見るなら買い、下がると見るなら売り。逆張りは「方向性に逆らう」ので、上昇の場面では売りが出発点になります。

ところが国内のバイナリーオプションでは、売りから始める注文自体が用意されていない会社がほとんどです。各社の記載を並べます。

会社(サービス名)注文タイプ新規注文と売建の取り扱い(公表記載)
GMOクリック証券(外為オプション)「注文タイプは成行のみです」「新規取引で売却から開始することや、決済取引で購入することはできません」
楽天証券(らくオプ)「注文種類は成行注文のみとなります」「新規購入のための注文および購入したオプションを転売するための注文のみを受け付けます」「新規取引としてオプションの売却から開始することはできません」
トレイダーズ証券(みんなのオプション)「注文方法は成行注文のみ受付けます」「新規の買付のみを取扱い、注文方法は成行注文となります」
外為どっとコム(外貨ネクストバイナリー)「新規注文:成行によるオプションの購入(買い建て)のみ 決済注文:成行による購入したオプションの売却(清算)」「オプションの売り建ての取り扱いはありません」
GMO外貨(オプトレ!)「成行注文のみとなります」「新規注文は購入のみです。売建(ショートポジション)の取り扱いはありません」
IG証券(バイナリーオプション)「バイナリーオプション取引では、リミット注文、ストップ注文はできません」新規の買付・売付と途中決済が可能と記載(証拠金取引)
表1:成行以外の注文を受け付ける会社はなく、新規の売付を公表しているのはIG証券だけ出典 GMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」/楽天証券「らくオプ サービス概要」/トレイダーズ証券「みんなのオプション サービス概要」/外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー 取引概要」/GMO外貨「オプトレ! 取引概要」/IG証券「バイナリーオプション取引概要」(いずれも2026年10月21日確認)

この表から2つのことが言えます。

1つめは、逆張りという言葉を使っても、やることは「プットの購入」だということです。方向の呼び方は会社によってコールとプット、上と下に分かれますが(コール・プットとは、上か下かの選び方)、どちらを選んでも新規注文は購入です。支払うのは購入価格で、当たったときに受け取る額は1枚あたり1,000円に固定されています。順張りと逆張りで、損益の形が変わるわけではありません。

2つめは、水準を指定して待つ注文を置けないことです。5社が注文タイプを成行のみと書き、IG証券はリミット注文とストップ注文はできないと明記しています。FXの解説でよく出てくる「押し目まで下がったら買う」「戻りを待って売る」という手順は、注文として予約できません。待つなら、自分が画面を見ている必要があります。

IG証券だけは、新規の売付と途中決済が可能だと取引概要に書かれています。ただし同社のバイナリーオプションは証拠金取引で、価格は「0から100の間で価格が0.1刻みで表示されます」と記載され、ペイアウト発生時は取引価格100ポイントで清算されると説明されています(2026年10月21日確認)。単位も損益の計算も他の5社と違うので、他社の感覚のまま読み替えないでください。各社の条件は国内登録業者の比較に並べています。

IG証券のバイナリーオプションを案内する公式ページの画面
表1で「新規の買付・売付」と書いた1社がここです。IG証券のバイナリーオプションは証拠金取引で、価格は0から100ポイントの範囲で提示されます(ロゴ・商標の権利は運営会社に帰属)。出典 IG証券「バイナリーオプション」/キャプチャ取得日 2026年8月21日、取引概要の記載の確認日 2026年10月21日

「待つ」という手順が、注文の形になっていない

順張りの定番として説明される手順の多くは、待つことを前提にしています。上昇トレンドの中で一度下がったところを買う、戻ってきた水準で入る。逆張りも同じで、行きすぎた価格が反転する兆しを待ちます。

バイナリーオプションで待つと、何が起きるのか。減るものと減らないものがはっきり分かれます。

1回号の時間軸に、取引開始1分前の権利行使価格の提示、取引開始、押し目や戻りを待つ区間、注文停止、判定時刻を並べ、待っている間に減るもの(残り時間と注文できる時間)と変わらないもの(権利行使価格、判定時刻、ペイアウト)を対比したタイムライン図
図2:待っても権利行使価格と判定時刻は動かず、残り時間と注文できる時間だけが減る権利行使価格の決定時期と取引期間の下限は金融先物取引業協会「個人向け店頭バイナリーオプション取引の取扱いルール」、注文受付の停止はGMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」とGMO外貨「オプトレ! 取引概要」、残存期間の説明はGMOクリック証券「プレミアムとは」(いずれも2026年10月21日確認)。1回号2時間は楽天証券・外為どっとコム・GMO外貨の公表値で、目盛りを等間隔にした模式図です

選べる価格は、待っている間に増えません。金融先物取引業協会の取扱ルールには「通貨関連店頭バイナリーオプションの権利行使価格は、判定時刻の2時間以上前に決定します」「お客様との取引開始から判定時刻までの期間(時間)は、当面の間、2時間以上とします」と書かれています(2026年10月21日確認)。回号が始まった時点で、その回号で狙える権利行使価格の並びは決まっています。

判定時刻も動きません。注文の締切は、GMOクリック証券が「各回号の満期時刻2分前以降は、新規・決済ともに注文受付を停止」、外為どっとコムが判定期間2分、GMO外貨が判定期間60秒、IG証券が「取引期間終了の数分前までで、銘柄により異なります」と記載しています(いずれも2026年10月21日確認)。待てる時間には、会社ごとに決まった終わりがあります(購入の締切)。

減るほうは残り時間です。GMOクリック証券の解説は「残存期間とは、満期時点までの残り時間のことです。満期までの残り時間が長いと、満期時点で権利行使価格に到達する確率が高くなり、時間的価値が大きくなります」と書いています(2026年10月21日確認)。同じ解説は、プレミアムが「原資産価格、権利行使価格、ボラティリティ(価格変動率)、残存期間(権利行使期日までの期間)、短期金利・配当率等をパラメーターとして計算されます」とも説明しています。

つまり待つという行為は、判断の材料を増やす一方で、価格を計算する材料の1つを削っていく行為でもあります。どちらが大きいかを決める式はこちらにはありません。言えるのは、締切までに押し目が来なければその回号では何もできず、次の回号では権利行使価格が新しい基準から引き直される、ということです。

同じ「上がる」でも、どの価格を選ぶかで払う額が変わる

方向を決めたあとに残るのが、距離の選択です。並んでいる権利行使価格のうち、現在の価格に近いものを選ぶのか、遠いものを選ぶのか。ここが購入価格に直接出ます。

2社が、価格の動き方を言葉で説明しています。GMOクリック証券は「満期時点で権利行使価格に到達する確率の高いオプションは価値が高いので、その分価格が高くなります。一方、権利行使価格に到達する確率の低いオプションは価値が低いので、価格は低くなります」と書いています。みんなのオプションは「目標レートに達する可能性が高い場合はチケット価格は高くなり、可能性が低くなればチケット価格も安くなります」とし、「判定時間までの残り時間なども、チケット価格に影響」すると説明しています(いずれも2026年10月21日確認)。

その価格が動く範囲は、各社が公表しています。

国内6社が公表している1単位あたりの購入価格の幅を0円から1,000円の横軸で比較した棒グラフ。GMOクリック証券は約50円から999円、みんなのオプションは50円から990円、GMO外貨は40円から990円、外為どっとコムは約40円から1,000円、楽天証券は記載を確認できず、IG証券は0から100ポイントで単位が異なる
図3:払う額は公表値で40円台から1,000円近くまで動く。受け取る1,000円のほうは動かない出典 GMOクリック証券「外為オプションとは」/トレイダーズ証券「みんなのオプション チケット価格」/GMO外貨「オプトレ! 取引概要」/外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー 取引概要」/楽天証券「らくオプ サービス概要」/IG証券「バイナリーオプション取引概要」(いずれも2026年10月21日確認)。楽天証券は参照したページで購入価格の幅の記載を確認できませんでした

GMOクリック証券は「取引に必要な金額は1枚あたり約50円〜999円です」、みんなのオプションは「みんなのオプションのチケットの購入価格は1Lotあたり50円~990円」、GMO外貨は「購入時:1口単位(1口あたりの金額は40円~990円)」と記載し、外為どっとコムは購入価格が約40円から1,000円で変動すると書いています(いずれも2026年10月21日確認)。楽天証券のサービス概要には、購入価格の幅の記載を見つけられませんでした。

この幅が、順張りと逆張りの話に戻ってきます。順張りで「もっと伸びる」と考えて遠い権利行使価格を選べば、払う額は小さくなります。ただしそれは、会社の計算で到達する可能性が低いと評価されている価格です。逆に、すでに有利な側にある近い価格を選べば払う額は大きくなります。安いほうが得だとも、高いほうが安全だとも、各社の説明からは出てきません。価格の高低は、可能性の評価がそのまま数字になったものです。

払った額が損益にどう効くかは、割り算ひとつで確かめられます。受け取る額が1,000円で固定されているため、損益が釣り合う勝率は購入価格を1,000円で割った値になります。計算の中身は損益分岐勝率にまとめているので、ここでは触れるだけにします。購入価格そのものの決まり方は購入価格とは、どの水準を選ぶかという判断は権利行使価格の選び方で扱っています。

逆張りが問われているのは「戻ること」ではない

逆張りで入るとき、頭の中では「行きすぎた価格が戻ってくる」という絵を描いています。バイナリーオプションの判定は、その絵の一部しか見ません。

各社の判定条件は、判定価格と権利行使価格の比較です。GMOクリック証券はコールオプションについて「判定価格が権利行使価格以上の水準となった場合(判定価格≧権利行使価格)」にペイアウトが発生すると書いています(2026年10月21日確認)。比べるのは判定価格1つで、途中でどこまで戻ったかは入りません。

ここから2つのずれが出ます。回号の途中で狙った方向へ戻っても、判定時刻までに戻り切っていなければ結果は変わりません。反対に、判定の直前になって一気に動くこともあります。逆張りの判断は「戻るか」ではなく「判定時刻に、選んだ価格のどちら側にいるか」に置き換わっています。この構造は、トレンドの向きを判断する場合も同じです(トレンド分析の定義と制約)。

途中で降りる手段はあります。協会の取扱ルールは「取引が成立し、お客様が保有するポジションについて、判定時刻の直前まで、ポジションの解消に応じます」としており、みんなのオプションも「売却終了時間までは建玉を売却することが可能」と記載しています。ただし同社は、スプレッドにより損失が生じる可能性があることも書いています(いずれも2026年10月21日確認)。有利な方向へ動いたぶんを確定させたい場合の選択肢ですが、購入した額がそのまま戻るわけではありません(途中売却)。

判定をまたぐ予定も、先に確認できます。経済指標の発表時刻は事前に分かるので、回号のどこに入っているかを見ておけます(指標発表と回号の関係)。待つ戦い方を選ぶなら、待っている間に何が起きる予定なのかは調べられる部分です。

「どちらが勝てるか」は、公表資料から出てこない

ここまで見てきたとおり、公表されているのは定義と仕組みです。順張りと逆張りのどちらが成績につながるかという比較は、参照した資料のどこにもありませんでした。

理由の一端は、価格の付け方にあります。到達する可能性の評価は、会社の計算モデルを通って購入価格として提示されます。つまり「当たりやすそう」と感じる選択は、その感じ方ごと価格に反映されています。安い価格を選び続ける方法も、高い価格を選び続ける方法も、公表されている説明の中では「可能性が低いものは安く、高いものは高い」という同じ1本の線の上にあります。

金融庁は、この分野について「一定時間後のレートをピンポイントで高い確度で予測することは非常に困難です」と注意喚起しています。あわせて、知人やSNSを通じた勧誘について「「絶対勝てる」「確実に儲かる」「すぐ簡単に稼げる」などのセールストークをうのみにしないよう注意しましょう」と呼びかけています(2026年10月21日確認)。順張り手法・逆張り手法として有料で売られているものがあっても、この記事で引用した材料はすべて各社と協会が無料で公開しているものです。当サイトの情報の扱いは情報源についてにまとめています。

回数の話も添えます。金融庁は「短期間に繰り返し取引した結果、多額の損失を被るおそれがあります」とも書いています(2026年10月21日確認)。逆張りは「行きすぎ」を探す発想なので、探せば候補は毎回見つかります。1回の損失は購入した金額までにとどまりますが、回数を重ねれば資金は減ります(損失が限定される仕組み、投資リスクについて)。

順張りと逆張りについてよくある質問

逆張りは「売り」の注文ですか

いいえ。国内6社のうち5社は、新規注文を購入のみとしています。外為どっとコムは「オプションの売り建ての取り扱いはありません」、GMO外貨は「新規注文は購入のみです。売建(ショートポジション)の取り扱いはありません」と記載しています(2026年10月21日確認)。逆張りで下を見込む場合も、操作はプットの購入です。新規の売付を公表しているのはIG証券だけで、こちらは証拠金取引として価格が0から100ポイントで提示されます。

押し目を待って指値注文を入れておけますか

できません。5社は注文タイプを成行のみと記載し、IG証券は「バイナリーオプション取引では、リミット注文、ストップ注文はできません」と明記しています(2026年10月21日確認)。水準を予約しておく方法が無いため、待つ場合は締切まで自分で画面を見ることになります。締切はGMOクリック証券が満期2分前、GMO外貨が判定期間60秒などと会社ごとに決まっています。

遠い権利行使価格は安く買えるのに、有利ではないのですか

安いことの意味が、公表資料に書かれています。GMOクリック証券は「権利行使価格に到達する確率の低いオプションは価値が低いので、価格は低くなります」、みんなのオプションは「可能性が低くなればチケット価格も安くなります」と説明しています(2026年10月21日確認)。安い価格は、到達する可能性を低く見積もった結果として安くなっています。当たったときの差額が大きいことと、当たりやすさは別の話です。

回号の途中でトレンドが変わったと思ったら、方向を変えられますか

同じ回号の中で、買った方向を反対に付け替える注文はありません。できるのは、保有しているオプションを売却して降りることと、新しい注文を別に出すことです。協会の取扱ルールは「判定時刻の直前まで、ポジションの解消に応じます」としていますが、各社の受付の締切は個別に定められており、売却価格はそのときに提示される価格です。

順張りと逆張りを決める前に、何を見ておけばいいですか

自分が使う会社の公表記載です。注文タイプ(表1)、1回号の長さと判定時刻、注文の締切、並んでいる権利行使価格の本数、そして購入価格の幅(図3)。これらは口座を開く前に読めます。待つ戦い方を選ぶなら締切の確認が先に来ますし、距離を取る戦い方を選ぶなら購入価格の幅の確認が先に来ます。

注文の前に分解しておく3つ

順張りか逆張りかという問いは、国内のバイナリーオプションでは1つの答えになりません。次の3つに分けると、公表資料で確かめられる部分と、自分の判断に残る部分が分かれます。

  1. コールかプットか。どちらも購入で、売りから始められるのは6社のうちIG証券だけです
  2. 並んでいる権利行使価格のどれを選ぶか。並びは回号ごとに決まり、途中で待っても増えません
  3. いくら払うか。公表されている幅は40円台から1,000円近くまであり、価格の高低は到達する可能性の評価です

このうち1と2は、注文画面と公表資料を見れば確認できます。3も、払う額は注文の前に画面で分かります。確かめられないのは、判定時刻にその価格のどちら側にいるかという1点だけです。金融庁が「非常に困難」と書いているのは、まさにここです。

順張りと逆張りは、どちらを選ぶかで有利さが決まる二択ではありません。方向の見立てに名前を付けたものであって、注文の中身は3つの選択に分かれています。名前のほうを先に決めてしまうと、距離と価格という残りの2つを、見立ての勢いのまま選ぶことになります。

この記事の出典

金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。