相場の時間帯

ロンドン時間・ニューヨーク時間は日本時間の何時か|換算と年2回のずれ

ロンドン16時やニューヨーク8時30分という表記を日本時間へ直す手順は3つだけです。ECB・連邦準備制度理事会・米労働統計局が公表している時刻を日本時間に並べ、米国と欧州で切替日が違うために年2回だけ換算がずれる期間を、各国の規則から確かめます。

「ロンドン時間の16時」「ニューヨーク時間の午前8時30分」という表記に出会ったとき、必要なのは相場観ではなく引き算です。手順は3つしかありません。現地の表記を書き写し、その地域が協定世界時からどれだけずれているかを引き、最後に9時間を足す。情報通信研究機構は日本標準時を、協定世界時を9時間進めたもの(東経135度の時刻)と説明していて、この最後の足し算は年間を通して変わりません(2026年10月19日確認)。

変わるのは2番目の引き算です。米国東部時間は、標準時間なら協定世界時より5時間遅く、夏時間ならその1時間ぶん縮まって4時間遅くなります。中央ヨーロッパ時間についてはドイツ物理工学研究所が「CET = UTC + 1h, CEST = UTC + 2h」と記載しています。英国はグリニッジ標準時を基準に、夏時間だけ1時間進みます。これらの差が年に2回切り替わるため、まったく同じ「8:30」が、日本時間の21時30分になったり22時30分になったりします。

さらにやっかいなのは、切替の日付が国ごとに違うことです。米国は3月第2日曜に始まり11月第1日曜に終わります。欧州と英国は3月最終日曜に始まり10月最終日曜に終わります。この2つは重ならないので、年に2回、米国だけが夏時間という期間ができます。直近では2026年10月25日から11月1日までの1週間がそれにあたります。

この記事では、換算の手順、公表されている時刻を日本時間に並べた一覧、期間によって動く行と動かない行、切替日のずれ、そして自分の口座に表示されている時刻が日本時間かどうかの確かめ方を順に見ます。時間帯そのもので何が変わるか(取引時間、回号、判定の刻み)はバイナリーオプションの時間帯、発表の前後で取引条件がどう変わるかは経済指標の発表前後にまとめています。

先に断っておくと、時間帯ごとの値動きの大きさを比べた公表データは、今回の調査でも見つかりませんでした。この記事が扱うのは時刻の換算だけです。どの時間帯が有利かという話ではありません。

手順は3つ。覚えるのは2番目の数字だけ

換算そのものは単純です。現地の表記から協定世界時へ戻し、そこへ9時間を足す。間に協定世界時を1回はさむと、相手がどこの国でも同じ式で処理できます。

協定世界時からの差は、どれも法令や国の機関が公表しています。米国連邦法典15編261条は、第2の標準時帯の時刻を協定世界時から5時間遅らせたものと定め、263条がその時帯を「eastern standard time」と名づけています。夏時間の期間は、この5時間が4時間になります。英国はSummer Time Act 1972の第1条第1項で、夏時間の期間中は英国の一般的な目的のための時刻をグリニッジ標準時より1時間進めると定めています。つまり英国の冬はグリニッジ標準時そのもの、夏はそれより1時間進んだ時刻です。

現地時刻を日本時間へ換算する3つの手順を左から右へ並べ、その下に米労働統計局の雇用統計8時30分(米国夏時間・米国標準時間)とECBの照会手続き14時10分CETの3例について、現地表記から協定世界時、さらに日本時間へ直した値を順に示した図
図1:協定世界時を1回はさむと、相手の国が変わっても同じ式で処理できる協定世界時からの差はNICT・PTB・米国連邦法典15編261条および263条、換算した時刻の元になった公表資料は米労働統計局とECB(いずれも2026年10月19日確認)。日本時間は当サイトが上記の差から計算した値です

図1の3つ目の箱は、何があっても+9時間のままです。日本には夏時間の制度がないので、ずれるのはいつも相手の国の側になります。逆に言えば、自分の時計を直す必要は一度もありません。直す必要があるのは、頭の中に置いた「向こうの何時が、こっちの何時か」という対応表のほうです。

公表されている時刻を、日本時間に並べ直す

では、実際に時刻が公表されているものを並べます。ここで扱うのは、相場の予想ではなく、発表元が「この時刻に行う」と書いている手続きだけです。

米労働統計局は雇用統計(Employment Situation)のニュースリリースの冒頭に「Transmission of material in this news release is embargoed until 8:30 a.m. (ET)」と書いています。公表日程のページには、2026年11月6日、12月4日、2027年1月8日といった予定日が、いずれも午前8時30分として並んでいます。

欧州中央銀行は、ユーロの参照レートについて「They are based on the daily concertation procedure between central banks across Europe, which normally takes place around 14:10 CET」「The reference rates are usually updated at around 16:00 CET every working day, except on TARGET closing days」と説明しています。あわせて「Using the rates for transaction purposes is strongly discouraged」とも書いています。取引の基準として使うことは勧めない、という断りです。

米連邦準備制度理事会のH.10統計は、解説ページで「The data are noon buying rates in New York for cable transfers payable in the listed currencies」と定義されており、毎週月曜の午後4時15分に更新されると書かれています。日次の観測時刻が正午で、公表そのものは週1回という構成です。なお、このページに時間帯の名称は書かれていません。下の表では、ニューヨークの現地時刻として米国東部時間で換算しています。

日本側にも固定された時刻があります。三菱UFJアセットマネジメントは、外貨建資産を組み入れたファンドの基準価額について「基準価額算出日の午前10時頃の為替レート(対顧客電信売買相場の仲値)を使って算出します」と公表しています。こちらは日本時間で決まっているので、1年を通して動きません。

公表している機関公表資料に書かれている時刻協定世界時からの差日本時間(標準時間の期間)日本時間(夏時間の期間)
米労働統計局(雇用統計の公表)8:30 a.m. (ET)−5(夏時間は−4)22:3021:30
米連邦準備制度理事会(H.10の観測時刻)noon buying rates in New York−5(夏時間は−4)※時間帯の名称の記載はなく、米国東部時間として換算翌2:00翌1:00
欧州中央銀行(参照レートの照会手続き)around 14:10 CET+122:1022:10(表記がCETのままの場合)
欧州中央銀行(参照レートの公表)around 16:00 CET+1翌0:00翌0:00(表記がCETのままの場合)
三菱UFJアセットマネジメント(基準価額に使う仲値)午前10時頃(日本時間)+910:00ごろ10:00ごろ
(換算の例)ロンドンの16:00この時刻に行われる手続きの一次情報は確認していません0(夏時間は+1)翌1:00翌0:00
表1:日本時間の列は、公表されている時刻に協定世界時からの差を当てて計算した値です出典 米労働統計局「Employment Situation」ニュースリリースおよび公表日程/ECB「Euro foreign exchange reference rates」/米連邦準備制度理事会「H.10 About」/三菱UFJアセットマネジメントの公表Q&A(いずれも2026年10月19日確認)。差の根拠はNICT・PTB・米国連邦法典15編261条および263条・Summer Time Act 1972

最後の行は、よく見かける「ロンドンの16時」を換算だけしたものです。この時刻に何らかの基準レートが決められているという説明は各所にありますが、運営元が公開している方法論の文書を今回の調査で読み取れなかったため、時刻や算出の仕方を事実として書くことはしません。換算そのものは規則から計算できるので、数字だけを残しています。

期間で動く行と、動かない行がある

表1を見ると、日本時間の列が2つに割れている行と、同じ値が並んでいる行があることが分かります。この違いは、その時刻がどこの時計で決められているかだけで決まります。

米労働統計局の雇用統計、連邦準備制度理事会H.10の観測時刻、ECBの照会手続きと参照レート公表、日本の対顧客仲値の5件について、米国と欧州がともに標準時間の期間と、ともに夏時間の期間とで、日本時間に直した値を左右に並べた比較図。米国東部時間で決められた2件だけが1時間動く
図2:左右で値が変わるのは、米国東部時間で決められている2件だけ出典 米労働統計局「Employment Situation」/米連邦準備制度理事会「H.10 About」/ECB「Euro foreign exchange reference rates」/三菱UFJアセットマネジメントの公表Q&A(いずれも2026年10月19日確認)。日本時間はNICT・PTB・米国連邦法典から当サイトが計算した値です

米国東部時間で決められた2件は、夏時間になると日本時間で1時間早まります。日本時間で決められた仲値は動きません。そしてECBの2件には、注意が要ります。参照したページの表記は年間を通して「CET」で、夏時間の期間にCEST(協定世界時+2時間)として運用されるかどうかの記載は見つかりませんでした。仮にCESTで読むなら、22時10分は21時10分、翌0時00分は23時00分になります。表と図にはページの表記どおりCETとして計算した値を置き、もう一方の値を注記に残しています。確認できないことを、確認できたように書かないためです。

切替日が3つあるので、年に2回だけ計算が合わなくなる

ここが、この記事でいちばん実害につながるところです。米国と欧州・英国は、同じ日に切り替えません。

NISTは米国の夏時間について「begins at 2:00 a.m. on the second Sunday of March」「ends at 2:00 a.m. on the first Sunday of November」と説明しています。ドイツ物理工学研究所は、ドイツの夏時間への移行を3月最終日曜の02時00分から03時00分へ、戻りを10月最終日曜の03時00分から02時00分へと示しています。英国のSummer Time Act 1972第1条第2項は、夏時間の期間を、3月最終日曜の午前1時グリニッジ標準時に始まり10月最終日曜の午前1時グリニッジ標準時に終わる期間と定めています。

2026年10月から2027年11月までを横軸に取り、米国の夏時間の期間と、欧州および英国の夏時間の期間を2本の帯で並べた図。切替日が違うため、2026年10月25日から11月1日までの1週間と、2027年3月14日から3月28日までの2週間は米国だけが夏時間になることを示している
図3:米国が先に始めてあとに終わるため、年2回、米国だけが夏時間の期間ができる切替の規則はNIST「Daylight Saving Time (DST)」/PTB「Daylight Saving Time in the Federal Republic of Germany since 1980」/英国 Summer Time Act 1972 第1条(いずれも2026年10月19日確認)。帯の日付は、この規則から当サイトが数えた切替日です

規則から数えると、秋の重ならない期間は毎年1週間です。欧州と英国が10月最終日曜に標準時間へ戻るのに対し、米国は11月第1日曜まで夏時間のままだからです。2026年なら10月25日から11月1日まで。春は2週間または3週間になります。米国が3月第2日曜に始めるのに対し、欧州と英国は3月最終日曜まで入らないためで、2027年は3月14日から3月28日までの2週間です。

この期間に何が起きるか。米国東部時間で決められた時刻だけが日本時間で1時間動き、ヨーロッパの時刻は動きません。2026年10月25日から11月1日までなら、雇用統計の8時30分ETは日本時間の21時30分のままで、欧州側はすでに標準時間に戻っています。「秋に時計が戻ったから、向こうの時刻は全部1時間遅くなったはずだ」とまとめて考えると、この1週間だけ外れます。

口座に出ている時刻が日本時間かどうかを、先に確かめる

換算ができても、比べる相手がずれていては意味がありません。自分の口座の時刻表記が日本時間なのかどうかは、会社によって書き方が違います。

当サイトが各社の取引概要から記録した取引時間の表記を、そのまま並べます。見ているのは取引時間の欄に書かれた文字列だけで、ページの別の場所に日本時間の断りがある可能性は残ります。確認日は2026年8月18日です。

会社(サービス名)当サイトが記録した取引時間の表記「日本時間」の明記夏時間についての記載
GMOクリック証券(外為オプション)月〜金曜日 8:00〜翌5:00この欄にはなしこの欄にはなし
楽天証券(らくオプ)月〜金曜日 9:20〜翌5:20(米国サマータイム期間は1時間繰り上がり)この欄にはなしあり(1時間繰り上がり)
トレイダーズ証券(みんなのオプション)月曜日 7:10〜土曜日 4:10(日本時間)ありこの欄にはなし
GMO外貨(オプトレ!)毎営業日 午前7時25分〜翌午前5時25分(日本時間)ありこの欄にはなし
外為どっとコム(外貨ネクストバイナリー)月〜金曜日 8:20〜翌4:20この欄にはなしこの欄にはなし
IG証券(バイナリーオプション)ラダー(当日)と(2時間)で時間割が異なる(夏時間は1時間繰り上がり)この欄にはなしあり(1時間繰り上がり)
表2:6社のうち「日本時間」と明記しているのは2社、夏時間に触れているのは2社出典 GMOクリック証券「外為オプション 取引ルール」/楽天証券「らくオプ サービス概要」/トレイダーズ証券「みんなのオプション サービス概要」/GMO外貨「オプトレ! 取引概要」/外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー 取引概要」/IG証券「バイナリーオプション取引概要」(いずれも2026年8月18日確認)。「この欄にはなし」は、取引時間の記載の中に見つからなかったという意味です
トレイダーズ証券のバイナリーオプション「みんなのオプション」を案内する公式ページの画面
取引時間を「月曜日 7:10〜土曜日 4:10(日本時間)」と、時間帯の名称まで添えて公表しているトレイダーズ証券「みんなのオプション」の公式ページの引用キャプチャ(ロゴ・商標の権利は運営会社に帰属)。この記事の表2で引用した取引時間の記載は、同サイトの「サービス概要」ページにあります。出典 トレイダーズ証券「みんなのオプション」/キャプチャ取得日 2026年8月21日、記載の確認日 2026年8月18日

2社は取引時間に「(日本時間)」と書いています。残る4社は、少なくとも取引時間の欄では時間帯の名称を書いていません。国内で登録を受けた会社なので日本時間で運用されていると考えるのが自然ですが、自然に思えることを、確認したことにしないでください。注文の締切は判定の1〜2分前に来るため、1時間の思い違いは取り返しがつきません(判定時刻とは、取引時間は何時から何時まで)。

夏時間に触れているのも2社です。楽天証券とIG証券は、米国の夏時間に合わせて時間割が1時間繰り上がると書いています。ここで効いてくるのが前の節の切替日です。繰り上がる日は米国の規則で決まるので、欧州の切替日とは別の日になります。

換算を間違えても、損失の側は限定されない

時刻の思い違いは、ただの手間では終わりません。

バイナリーオプションの1回あたりの損失は購入価格が上限です。ここだけ見ると安全に思えますが、回数を重ねれば資金は減ります。狙っていた回号を逃して次の回号に乗り換える、判定の時刻を取り違えて慌てて買い直すといった動きは、どれも回数を増やす方向に働きます。金融庁は注意喚起のページで「安易に何度も取引を行ってしまうおそれ」「短期間に繰り返し取引した結果、多額の損失を被るおそれ」を挙げています(2026年10月19日確認)。

同じページは、無登録業者についても書いています。「日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されています」とし、相談は「海外の無登録業者との間で発生するケースが多く見受けられ」ると説明しています。時刻の表記が現地時間のままで、日本時間への対応がどこにも示されていない取引画面に出会ったときは、換算の前にその会社が国内で登録を受けているかどうかを確かめてください。登録を受けた会社の公表値は国内登録業者の比較に並べています。損失の両面については投資リスクについても読んでください。

時刻の換算についてよくある質問

日本時間に直す式を1つだけ覚えるなら、どれですか

「現地の表記 − 現地の協定世界時からの差 + 9時間」です。9時間の部分は、日本に夏時間の制度がないため常に同じです。覚える必要があるのは差のほうで、米国東部は標準時間が−5・夏時間が−4、中央ヨーロッパは+1、英国はグリニッジ標準時を基準に夏時間だけ+1です。

「ニューヨーク時間」と「米国東部時間」は同じものですか

この記事では、公表資料にある「ET」「Eastern Time」をそのまま米国東部時間として扱っています。米国連邦法典15編263条が第2の標準時帯を「eastern standard time」と名づけ、261条がその時刻を協定世界時から5時間遅らせたものと定めているためです。一方「ニューヨーク時間」は法令上の名称ではありません。米連邦準備制度理事会のH.10は観測の地点として「New York」と書いているだけなので、地点の呼び方と時帯の名称は別のものとして読んでください。

秋に時計が戻ると、海外の時刻はすべて1時間遅くなりますか

なりません。欧州と英国は10月最終日曜、米国は11月第1日曜に戻るので、その間の1週間は米国だけが夏時間のままです。2026年なら10月25日から11月1日までがこれにあたります。この週は、ヨーロッパの時刻だけが日本時間で1時間遅くなり、米国の時刻は前の週と変わりません。

ロンドンフィックスの時刻を記事に書いていないのはなぜですか

その時刻に算出される指標の方法論は運営元が文書で公開していますが、今回の調査ではその文書の本文を機械的に読み取れず、時刻や算出の窓を一次情報として確認できませんでした。確認できていない数値は書かないという方針(情報源について)に従って、表1にはロンドンの16時を換算した値だけを残し、そこで何が行われているかは書いていません。

口座の画面に出ている時刻が日本時間かどうかは、どこで分かりますか

各社の取引概要・取引ルールのページです。表2のとおり、6社のうち2社は取引時間に「(日本時間)」と書いています。書かれていない会社では、取引時間の欄だけを見て判断せず、回号表や注文締切の記載もあわせて読んでください。確認できないまま換算した時刻で行動しないのが確実です。

手元に書き写す5行

時刻の換算で必要なものは、相場の知識ではありません。次の5行を1枚に書き写せば、年に2回のずれを含めて自分で処理できます。

1行目、日本標準時は協定世界時を9時間進めたもので、この値は変わらない。2行目、米国東部時間との差は標準時間が−5、夏時間が−4。3行目、中央ヨーロッパ時間は+1、英国はグリニッジ標準時を基準に夏時間だけ+1。4行目、米国の夏時間は3月第2日曜から11月第1日曜、欧州と英国は3月最終日曜から10月最終日曜。5行目、自分の口座の取引時間に「日本時間」と書かれているかどうか。

4行目があるおかげで、「向こうの時計が動いたはずだ」と思った週に、本当に動いたのがどちら側かを自分で判定できます。5行目があるおかげで、換算した時刻を自分の回号表に重ねられます。

書き写せない項目は、空けたままにしてください。この記事でも、ECBの表記が夏時間の期間にCESTへ変わるかどうかと、取引時間の欄に時間帯の名称を書いていない4社の扱いは、確認できないまま残しています。埋めずに残した空欄は、次に公式ページを開いたときの宿題になります。

この記事の出典

金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。