違法性

バイナリーオプションは違法か|禁止されているのは誰のどの行為か

「違法」とされるのは登録を受けずに金融商品取引業を行うことです。禁止されているのが誰のどの行為かを4つの問いに分け、金融庁・財務局・国民生活センターの表記のまま並べ、取引した個人について公表資料に書かれていないことと、登録を確かめる手順まで示します。

バイナリーオプションという商品そのものが法律で禁じられているわけではありません。金融庁が違法だと書いているのは、登録を受けずに金融商品取引業を行うことです。同庁のページには「金融商品取引法の登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です」という一文があります(2026年10月1日確認)。義務を負うのは取引を提供する側で、国内で取り扱っている業者は、その登録を済ませたうえで商品を扱っています。

ただし、この一文だけでは「自分の場合はどうなのか」が決まりません。「違法」という言葉には、少なくとも4つの別々の問いが混ざっています。業者側の営業が違法なのか、海外のライセンスでは足りないのか、登録業者と取引する行為が禁じられているのか、そしてすでに取引してしまった個人に罰則があるのかです。答えの確かさは、この4つで大きく違います。

先に断っておきます。当サイトは法律の判断をしません。この記事でできるのは、金融庁・財務局・国民生活センターが実際に公表している文章を表記のまま並べ、どこまでが書かれていて、どこからが書かれていないのかを切り分けることまでです。個別の責任や処分については、弁護士か、記事の後半で挙げる相談窓口に確認してください。

以下では、禁止されている行為の範囲を公表資料の表記で確認し、海外ライセンスの扱いを見て、取引した個人について資料に何が書かれていないかを示します。そのうえで、勧誘が業者から始まるとは限らない経路、登録を確かめる相手の見え方、知らせる窓口と相談する窓口の違いまで進みます。国内業者と海外業者の制度上の違いは国内業者と海外業者の違いに、商品そのものの仕組みはバイナリーオプションとはにまとめています。

「違法」に混ざっている4つの問いを分ける

「違法」という言葉に混ざっている4つの問いを1行ずつ並べ、それぞれに答えと根拠を付けたチェックリスト。1つめは登録を受けずに業として行うことは違法で、金融庁が登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法ですと明記しており、義務を負うのは業として行う者の側。2つめは海外のライセンスがあれば日本で営業できるかという問いで、答えはできない。海外でライセンスを持つ業者でも日本で登録を受けずに日本の居住者を相手に業として行うことは禁止と金融庁が書いている。3つめは登録を受けた業者と取引することは禁止ではなく、金融庁は取引の前に相手の登録を必ず確認するよう案内しており、取引そのものを禁じる記載は当サイトでは確認していない。4つめは取引した個人に罰則はあるのかという問いで、答えは確認できず。登録の義務と罰則は業として行う者に向けて書かれており、個人への罰則の記載は当サイトが見た公的資料にはなかった
図1:答えがはっきりしている問いと、資料から決められない問いが混ざっています各行の根拠は金融庁「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」の記載です。4つに分ける整理は当サイトによるもので、公的機関がこの形で分類しているわけではありません(2026年10月1日確認)

金融庁の一文は、主語が業者側にあります。「金融商品取引業を行う」のは商品を提供する側ですから、読み替えれば登録のないまま日本の居住者へバイナリーオプションを提供する営業が違法だという意味になります。取引の仕組みや、通貨の値動きを予想する行為そのものを禁じている文ではありません。

4つの問いのうち、1番目と2番目には公表資料にはっきりした答えがあります。3番目は、禁止するという記載が無いことに加えて、金融庁自身が「取引を始める前に、取引の相手が金融商品取引法の登録を受けている業者であることを必ず確認してください」と案内しています(同日確認)。相手を確かめたうえで取引することを前提にした案内なので、登録業者との取引を禁じられたものとして扱っていないことが読み取れます。

残る4番目が、検索でいちばん多く尋ねられていて、しかも資料から断定できない問いです。この点は後半でそのまま扱います。

公的機関が書いていることを、表記のまま並べる

公表している機関・資料 書かれていること 確認日
金融庁「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」 金融商品取引法の登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法です 2026年10月1日
同(海外のライセンスについて) たとえ海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されています 2026年10月1日
金融庁「無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください」 日本で登録を受けずに金融商品取引業を行うことは、禁止されています。(違反者は罰則の対象となります。) 2026年10月1日
金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」 日本で登録を受けずに金融商品取引業や暗号資産交換業を行うことは違法です 2026年10月1日
関東財務局「海外に所在する無登録業者とのFX取引等にご注意ください!」 海外に所在する業者であっても、日本の居住者のために又は日本の居住者を相手方として金融商品取引を業として行う場合は、原則として、金融商品取引業の登録が必要 2026年10月1日
金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」 掲載されている無登録業者は、警告書の発出を行った時点で無登録営業を行っていることが確認できた者に限られています 2026年10月1日

5つの公表資料が、同じことを別の角度から書いています。共通しているのは、判断の分かれ目を「登録の有無」1点に置いていることです。会社の所在地、サイトの言語、入金に使える通貨、サービスの名称は、どの資料でも判断材料として挙げられていません。

表の3行目に注目してください。金融庁は「(違反者は罰則の対象となります。)」と、罰則があること自体は明記しています。一方で、刑の重さにあたる年数や金額を、この一文には書いていません。当サイトも、刑の内容を公的機関の公表資料で確認できなかったため、この記事に数字を書きません。条文そのものはe-Gov法令検索で読めます。読むときは、金融商品取引業の登録に関する規定と、罰則の章を合わせて見ることになります。

6行目は、後述する確認作業の限界に関わります。金融庁は、警告の一覧に掲載されているのは警告書の発出を行った時点で無登録営業を行っていることが確認できた者に限られる、としています。載っていないことは、登録があることの証明になりません。この一覧は検索できる形でも公開されていて、2026年9月25日に更新されたものが掲載されています(2026年10月1日確認)。

海外のライセンスは、日本の登録の代わりにならない

「海外の金融ライセンスを取得済み」という説明は、勧誘の場面でよく出てきます。金融庁はこれを正面から否定しています。「たとえ海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されています」(2026年10月1日確認)。

関東財務局も、同じ内容を要件の形で書いています。海外に所在する業者であっても、日本の居住者のために、または日本の居住者を相手方として金融商品取引を業として行う場合は、原則として金融商品取引業の登録が必要、という書き方です。どこに会社があるかではなく、誰を相手にしているかで登録の要否が決まります。日本語のページがあること自体は、登録の有無と関係がありません。

したがって、相手が示したライセンス番号が本物かどうかを調べても、この問いの答えは出ません。確かめる対象は日本の登録のほうです。海外の業者で口座を開くと、取扱いのルールや預けた資金の扱いまで変わります。制度ごとの違いは国内業者と海外業者の違いに並べました。

取引してしまった個人について、資料に書かれていないこと

ここが、この記事でいちばん慎重に書く部分です。読んだ公的資料は、登録の義務と罰則を業として取引を行う者に向けて書いています。取引した個人に罰則があるという記載も、無いという記載も、当サイトが確認した範囲では見つかりませんでした。

資料が個人に向けて書いているのは、別のことです。金融庁は「無登録業者との取引にはご注意ください」とし、「無登録業者と取引した場合は、トラブルが生じても無登録業者への追及は極めて困難です」と説明しています(2026年10月1日確認)。国民生活センターは「無登録業者との取引はやめましょう」「不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談しましょう」と呼びかけています(2019年10月24日公表)。個人は、処罰する相手としてではなく、相談を受ける相手として書かれています。

この並びから「個人は絶対に責任を問われない」と結論づけることはできません。資料に書かれていないことは、書かれていないという事実でしかないからです。すでに入金してしまった、勧誘する側に回ってしまった、といった具体的な事情があるなら、記事ではなく弁護士や相談窓口へ持ち込んでください。この記事が示せるのは、公表資料の射程までです。

勧誘は、業者から始まるとは限らない

公的機関の注意喚起と相談事例にある勧誘の順路を4段階の縦のフロー図にしたもの。1段階目はSNS・知人からの勧誘で、友人やSNSを通じて知り合った相手から勧められ、相談は20歳代の割合が高いと国民生活センターが公表している。この段階ではまだ業者が出てこない。2段階目は高額な情報商材の購入で、分析ツールが入ったUSBメモリなど高額な情報商材を買い、支払う先は勧めてきた側で取引の相手方はまだ現れない。相手は業者ではない。3段階目は海外無登録業者での取引で、購入したあと海外無登録業者との取引へ誘導され、入金する前が相手の登録を確かめられる最後の時点になる。4段階目は損失・出金拒否・連絡不通で、多額の損失が発生した、業者と連絡が取れない、解約できないという訴えや、出金を求めても応じてもらえないという相談が寄せられ、確認する機会は過ぎている
図2:業者を選ぶ場面が来ないまま、入金だけが先に済む形になっています1段階目から4段階目までの内容は金融庁「バイナリーオプション取引にあたってご注意ください!」と国民生活センターの公表資料の記載です。右端の「登録を確かめる機会」の欄は、記載の順序から当サイトが読み取った整理です

金融庁は、バイナリーオプション取引の分析ツールが入ったUSBメモリなど高額な情報商材を購入したあとに、海外無登録業者との取引へ誘導されるという形のトラブルを挙げています(2026年10月1日確認)。国民生活センターも、SNSで知り合った相手から「確実に儲ける方法を教える」と誘われ、紹介されたサイトで入金したところ、運営者は海外の無登録業者だったという事例を公表しています(2019年10月24日公表)。相談は20歳代の割合が高いとされています。

順番が重要です。最初に出てくるのは個人で、業者が出てくるのはそのあとです。「どの業者と契約するか」を考える場面が最後まで訪れないまま、入金だけが済んでしまうという形になっています。登録の確認を業者選びの作業だと思っていると、この経路では一度も発動しません。

その事例では、入金額の3倍以上の取引がないと出金できないという規約を理由に、出金を断られています。条件は契約の時点で示されていて、効いてくるのは出金を求めた時点です。国内の登録業者でも出金には手順と条件があり、どこが違うのかは出金できないときに確認することに整理しました。

登録を受けた相手は、登録番号を公表している

外為どっとコムの外貨ネクストバイナリーを案内する公式ページのファーストビュー
取引概要と登録番号を同じサイト内で公表している外為どっとコムの公式ページの引用キャプチャ(ロゴ・商標の権利は運営会社に帰属)。登録番号の表記は外貨ネクストバイナリー 取引概要にあります。出典 外為どっとコム「外貨ネクストバイナリー」/キャプチャ取得日 2026年8月21日、記載の確認日 2026年8月18日

登録を受けた業者は、金融商品取引業者としての登録番号を公式ページに掲げています。外為どっとコムは、外貨ネクストバイナリーの取引概要を載せたページに「金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第262号」と表記しています(2026年8月18日確認)。番号は財務局長の登録番号という決まった形をしていて、金融庁の一覧から同じ名称と番号を引けます。

確認は2つの一覧で行います。根拠になるのは免許・許可・登録等を受けている事業者一覧のほうで、無登録で金融商品取引業を行う者の名称等については補助に使います。警告の一覧は前述のとおり網羅ではないため、「載っていたらやめる」には使えても、「載っていないから大丈夫」には使えません。控える・照合する・警告を見るという手順は国内業者と海外業者の違いで図にしています。国内で取引概要を確認できた6社の条件は国内6社の比較に並べました。

知らせる窓口と、相談する窓口は別

窓口 扱うこと 連絡先・受付
金融庁 金融サービス利用者相談室 無登録業者からの勧誘についての情報提供・相談 0570-050588/平日10時00分〜17時00分
証券取引等監視委員会 情報提供窓口 法令違反の疑いがある行為の情報提供 0570-00-3581
消費生活センター等(消費者ホットライン) 支払ってしまったあとのトラブルの相談 188(いやや!)

上2つは金融庁「無登録業者との取引は要注意!!」の記載(2026年10月1日確認)、いちばん下は国民生活センターの案内(2019年10月24日公表)です。

2つを混同すると、必要な連絡が片方だけで終わります。無登録の疑いがある営業を見つけたときの情報提供と、支払ってしまったあとの被害の相談では、受け付けている機関が違うからです。金融庁は無登録業者からの勧誘について金融サービス利用者相談室への情報提供を呼びかけており、法令違反の疑いがある行為については証券取引等監視委員会が情報を受け付けています。

すでに支払いが済んでいる場合は、消費生活センター等が窓口になります。国民生活センターは消費者ホットライン「188(いやや!)」を案内しています。どちらか一方で足りると決めつけず、状況に合うものを選んでください。

この記事で確認できなかったこと

  • 無登録営業に対する刑の重さ。罰則の対象であることは金融庁が明記していますが、年数と金額を公表資料で確認できなかったため書いていません
  • 取引した個人の法的な責任。前述のとおり、肯定する記載も否定する記載も確認できませんでした
  • 賭博に関する法律との関係。この点に触れた公的機関の公表資料を見つけられなかったため、当サイトでは扱いません

確認できなかった項目を推測で埋めないという方針は情報源についてに書いています。最後にもう1つ付け加えます。登録を受けた業者を相手にしても、バイナリーオプションは損失が出る商品です。1回あたりの損失に上限があることと、資金が減らないことは別である点は損失が限定されるという意味と投資リスクについてにまとめました。登録の確認は、判断の最初の1つであって、最後の1つではありません。

この記事の出典

金額・時刻・取引ルールは、下の一次情報で確認できた表記だけを載せています。 確認日以降に変更されている場合があるため、取引の前に各社の公式ページで確かめてください。