バイナリーオプショントレードで借金を背負ってしまった場合には、その借金は債務整理や自己破産でチャラにする、減額することはできるのでしょうか?今回はバイナリーオプションの借金の債務整理や自己破産ができる可能性と、債務整理の手順について解説します。
バイナリーオプションで借金ができる状況
通常のバイナリーオプションの場合は、投資した金額(バイナリーオプションで購入した金額)以上に損失を被ることはありません。
つまり、
のです。
最悪、手持ち資金・余剰資金がゼロ円になるだけです。
これがFXトレードの場合は、証拠金以上に損失が出てしまう「追証(おいしょう)」というものがあります。追証は、FX業者に入金した金額よりも、相場の急変動で損失が出てしまい、口座がマイナス状態になり、そのマイナス分を支払うようにFX業者から求められるものです。この場合、手持ち資金・余剰資金をFXトレードに費やしても、それ以上に損をすることがあり、借金を負うことも珍しくないのです。
バイナリーオプションでは、無理をしない限り借金を背負うことはないのです。
バイナリーオプションで借金ができてしまう状況というのは
余剰資金以上の借金をして、バイナリーオプショントレードをする状況
だけです。
「バイナリーオプションをしたいけど、手持ち資金がない」という方が
- カードローン・キャッシングで投資資金を借りる
- 家族、友人、知人から投資資金を借りる
というパターンになります。
また、貯金をすべてバイナリーオプションに遣ってしまい、生活費の方がなくなりお金を借りるというケースもあります。
借金が返済できない場合に選択する「債務整理」とは?
債務整理
債務整理とは
を言います。
債務整理には
- 任意整理
- 自己破産
- 個人再生(民事再生)
- 過払い金請求
の4つの種類があります。
任意整理
任意整理とは
を言います。
弁護士や司法書士が代理人となって「このままだと返済ができずに自己破産することになってしまいます。返済可能な基準まで借金の減額ができませんでしょうか?」と和解交渉を行う手続きになります。法的な強制力がある手続きではないため、貸金業者は交渉を断ることもできます。
メリット
- 借金が減額される(利息のカットが一般的)
- 過払い金があれば元金も減らせる
- 毎月の返済額が抑えられる
- 完済までの返済計画が明確になる
デメリット
- 交渉が成立しない可能性もある
- 個人信用情報に「返済事故」として記録され、クレジットカードやローンが5年~10年利用できなくなる
※「過払い金請求」と「任意整理」は、同時に行うことが一般的です。
過払い金請求とは
自己破産
自己破産とは
を言います。
任意整理とは異なり、裁判所を通して行う、法的な手段と言えます。申請すれば絶対に裁判所が認めてくれるものではなく、債務の免責(免除)が認められない場合があります。
メリット
- 借金がゼロになる
デメリット
- 免責が認められないケースもある
- 一定額以上の財産は手放さなければならない
- 個人信用情報に「返済事故」として記録され、クレジットカードやローンが5年~10年利用できなくなる
- 手続が終るまで、就いてはいけない職業がある
- 官報に掲載される
個人再生(民事再生)
個人再生(民事再生)とは
を言います。
任意整理とは異なり、裁判所を通して行う、法的な手段と言えます。
自己破産との違いは
- 自己破産 → 借金がゼロになる
- 個人再生 → 借金が5分の1~10分の1に減る
という違いがあり、自己破産の方がメリットが大きいのですが
- 自己破産 → 財産を手放さなければならない
- 個人再生 → マイホームやマイカーを手元に残せる
という違いがあり、個人再生を選択すれば、マイホームやマイカーを手放さずに借金の減額ができるのです。
メリット
- 借金が5分の1~10分の1に減る
- ローンが残っているマイホームを残せる
- ローンが残っているマイカーを残せる
- 借金の理由が問われない
デメリット
- 借金は残ってしまう
- 個人信用情報に「返済事故」として記録され、クレジットカードやローンが5年~10年利用できなくなる
- 官報に掲載される
バイナリーオプションの借金は、債務整理・自己破産ができますか?
バイナリーオプションの借金を任意整理できるのか?
できます。
任意整理は、裁判所などを介しない「仲介者(弁護士・司法書士)」と「貸金業者」の個別交渉です。
借金の理由が問われることはなく、バイナリーオプションで作った借金でも、問題なく任意整理をすることができます。
また、過払い金が発生している場合は、過払い金返還請求も問題なく行うことができます。
バイナリーオプションの借金を自己破産できるのか?
できます。
自己破産の場合は、裁判所が行う法的な手続きです。
申請したすべての借金で免責が認められるわけではなく、裁判所(裁判官)の判断により
- 免責許可 → 借金がゼロ
- 免責不許可 → 借金は減らない
ことになるのです。
どういう基準で、免責の許可、不許可が判断されるかと言うと、裁判所のウェブサイトには下記のように記載されています。
借金の支払義務は、どういうときに免除されるのですか。免責不許可事由とは何ですか?
破産手続が開始された時点で破産者が負っていた借金(債務)について、法律上の支払義務を免除するかどうかを決める手続を、免責手続といいます。この手続で、裁判
所が免責許可決定を出しますと、借金の支払義務が免除されます。しかし、ギャンブルによって多額の借金を作ったなど、不誠実な破産者であることを示す事情があるときには、免責許可決定がもらえない(免責が許可されない)ことがあります。このように、免責が許可されなくなってしまう事情のことを「免責不許可事由」といい、この免責不許可事由は、法律で決められています。法律で決められた免責不許可事由のうち、実際によく問題になるものは、次のとおりです。
(1)浪費(むだづかい)やギャンブルによって多額の借金をしてしまった場合
(2)財産を隠したり、壊したり、勝手に他人に贈与したりした場合
(3)破産申立てをする前の1年間に、住所、氏名、年齢、年収等の経済的な信用に関わる情報について嘘をついた上で、お金を借りたり、クレジットカードで買物をしたりしたような場合
(4)ローンやクレジットカードで商品を買った上で、その商品を非常に安い値段で売ってお金に替えた場合
(5)破産の申立てをした日から数えて7年以内に免責を受けたことがある場合
(6)裁判所や破産管財人が行う調査に協力しなかった場合ただし、免責不許可事由に当てはまる行為があったとしても、その行為の悪質さの程度や、借金をした理由、現在の破産者の生活や収入の状況等の様々な事情も考えた上で、裁判官が総合的に考慮して、破産者の立ち直りのために、例外的に免責を認める場合もあります(これを「裁量免責」といいます 。)
バイナリーオプションは、れっきとした「投資」ですが、裁判官の判断では「浪費」「ギャンブル」にカテゴライズされてしまう可能性も高く、免責不許可事由にあてはまってしまうのです。
そうではありません。
バイナリーオプションで作った借金は「免責不許可事由」に該当する可能性が高いのですが、自己破産には「裁量免責」という制度があります。
裁量免責とは
簡単に言うと、自己破産さえ、拒否されてしまうと更生のきっかけもなくなってしまう方が多いため、救済措置として、借金をした経緯や状況、反省の度合いをもって、免責を認める制度「裁量免責」が用意されているのです。
確認されるポイントは
- 現在、同様のギャンブル(この場合は、バイナリーオプションも該当)を行っていないかどうか?
- ギャンブル(この場合は、バイナリーオプションも該当)で借金を作ったことを反省しているかどうか?
- ギャンブル(この場合は、バイナリーオプションも該当)がない状況で、収入の範囲内で生活ができているかどうか?
- ウソや隠し事がないかどうか?
です。
上記のポイントを踏まえて
- 申立書類で経緯や家計状況を詳しく説明する
- 破産管財人の調査に誠実に対応する
- 反省文を提出する
- 免責審尋で生活再建への意欲をアピールする
ことで、多くのケースで、ギャンブル(この場合は、バイナリーオプションも該当)で作った借金でも、「裁量免責」が許可され、借金をゼロにすることができるのです。
バイナリーオプションの借金を個人再生(民事再生)できるのか?
できます。
個人再生(民事再生)は、裁判所を介する手続きですが、自己破産とは違って「借金の理由を問われない」という特徴があります。
自己破産とは違って、借金はゼロにはならないものの、5分の1~10分の1まで減るため、十分な債務整理が期待できます。
自己破産で、バイナリーオプションで作った借金が「裁量免責」も認められなかったとしても、個人再生(民事再生)は選択することができます。
バイナリーオプションで作った借金の債務整理の可否
- 任意整理 → 利用可能
- 過払い金返還請求 → 利用可能
- 自己破産 → 利用可能
- 個人再生(民事再生) → 利用可能
バイナリーオプションで作った借金の債務整理を進める手順
バイナリーオプションは、自己破産や個人再生(民事再生)は自分で進めることもできますが、基本的には「専門家」に依頼して進めることをおすすめします。
- 任意整理 → 弁護士・司法書士(借金総額140万円以下)
- 過払い金返還請求 → 弁護士・司法書士(借金総額140万円以下)
- 自己破産 → 弁護士・自分
- 個人再生(民事再生) → 弁護士・自分
司法書士にも、依頼できますが、選べる債務整理の選択肢も含めて相談する場合は「弁護士」に依頼することが良いでしょう。
任意整理(過払い金返還請求)の手順
- 弁護士への相談
- 弁護士との委任契約
- 受任通知の送付
- 取引履歴の開示請求
- 引き直し計算
- 弁済原資金の積立ての開始
- 過払い金の返還請求
- 和解案の作成・送付
- 和解交渉
- 特定調停
- 和解契約の締結
- 和解に基づく返済
自己破産の手順(同時廃止)
- 弁護士への相談
- 弁護士との委任契約
- 受任通知の送付
- 取引履歴の開示請求
- 債権調査
- 過払い金返還請求
- 資産、家計状況の調査
- 免責に関する調査
- 自己破産の手続の選択
- 自己破産の申立書の作成
- 自己破産の申立て
- 破産者の審尋
- 破産手続開始決定
- 同時廃止決定
- 免責審尋
- 免責許可、不許可決定
個人再生(民事再生)の手順
- 弁護士への相談
- 弁護士との委任契約
- 受任通知の送付
- 取引履歴の開示請求
- 債権調査
- 過払い金返還請求
- 資産、家計状況の調査
- 個人再生の手続の選択
- 個人再生の申立書の作成
- 個人再生の申立て
- 個人再生委員の選任
- 個人再生委員との打ち合わせ
- 履行可能性テストの開始
- 個人再生手続開始決定
- 債権届出
- 債権調査
- 債権認否一覧表、報告書の提出
- 異議の申述、評価申立て
- 再生計画案の作成
- 再生計画案の提出
- 再生計画案の決議等
- 裁判所による再生計画認可、不認可の決定
- 再生計画認可・不認可決定の確定
- 個人再生手続の終了
- 再生計画に基づく弁済の開始
- 再生計画の遂行
バイナリーオプションで作った借金の債務整理の費用
- 任意整理 → 1社あたり2万円~5万円 + 減額した金額の10%~20%
- 過払い金返還請求 → 返還請求額の10%~20%
- 自己破産 → 弁護士費用が約20万円~50万円
- 個人再生(民事再生) → 弁護士費用が約20万円~50万円
まとめ
バイナリーオプションで作った借金の債務整理は、問題なく行うことができます。
「バイナリーオプションで借金ができた場合は自己破産できますか?」
「バイナリーオプションの借金の債務整理の手順を教えてください。」